vol.46-⑧【勘違い】迷惑をかけましょう(後編)
- 2023年12月19日
- 所長の学び
「迷惑をかけましょう」の勘違いを解消するにあたって、2つに分けてお話しするほうがいいと思うんです。
前半では、
「生きているだけで誰かに迷惑かけている」ことについて、
後半では、
「“迷惑をかける”には2種類ある。良い方の迷惑をかけていこう」ということについてお話しできると勘違いが少し解消されるのではないかと思うのです。
まずは
「生きているだけで誰かに迷惑をかけている」ということについてですが、
これは何となく分かりますよね。
私たちは誰にも迷惑をかけないように生きようと思えば「死ぬ」しかないんです。
いや、死ぬことすら誰かにとっての迷惑になります。
(居なくなって困る人がいる。様々な後始末をしないといけない人がいる。お葬式をあげる人がいる。などなど)
食事をするにしても、お風呂入るにしても、仕事(学校)するにしても、電車に乗ることにしても、
何するにしても生きているだけで私たちは誰かの迷惑になっています。
「意見を言わない(自我を出さない)ことで迷惑かけないようにしている。」
「自分が我慢することで迷惑をかけないようにしている」
「引きこもることで迷惑かけないようにしている。」
と思い込んでいる方もいらっしゃいますが、
「意見言わないのって、話し合いが進まないから迷惑」
「我慢ばっかりしているのって、こっち(相手)がワガママみたいに思えて迷惑」
「引きこもっているのって、家族は心配になって迷惑」「支援も必要だから迷惑」
迷惑をかけないようにすることすらも実は迷惑になっていたりするんですよね。
(きついこと言ってすみません💦)
「じゃあ、死ねばいいのね!どうせ迷惑をかけるなら一回きりの迷惑でいい!」
「もう私は死ぬしかない!」
と決して早とちりはしないでくださいね(汗)。
私たちは生きているだけで誰かに迷惑をかけている一方で、
生きているだけで「誰かの役にも立っている」んです。
このことをちゃんと理解しておいていただきたいんです。
成績が最下位の方は、下から2番目の人の気持ちを軽くしているかもしれません。
ネガティブなことばかり言う人は、同じような気持ちの人の安心を作っているかもしれません。
親に世話ばかりしてもらっている人は、親の老後の生きがいを与えている(子離れしなくていい)かもしれません。
だってその証拠に、赤ちゃんなんて、自分で食事取れないわ、ウンチもらすわ、お風呂には一人で入れないわ、お金もかかるわ、親は夜遊びに出かけられないわ、で迷惑だらけです。
でもそれで、親は幸せな気持ちになったり、生きがいを感じたり、疲れて帰ってきたときに心を癒してくれたりします。
寝たきりの高齢者も同様ですね。
高齢者のお世話を生きがいにしたり、それでお金を稼いでいる人もいる。
もちろん多くの人生の知識を周囲に享受していたりします。
自分の家族であれば、生きてくれているだけでうれしく思ったりするものです。
つまり、
誰もが生きているだけで誰かの迷惑になっているし、誰かの役にも立っている。
それなら “ちゃんと迷惑をかける” ほうがいいと思いませんか。
それでは「ちゃんと迷惑をかける」ってどういうことでしょうか?
迷惑には
「嬉しい迷惑」
と
「嫌な迷惑」
があります。
例を出すと分かりやすいと思うんですが、
道端で倒れている人がいて、「助けてください」「救急車呼んでください」とい言われたとしましょう。
これってある意味迷惑ですよね。
でも多くの人がすすんでその人を助けてあげます。
すると、
「助けていただいてありがとうございました。」
なんて言われたりします。
そうすると、なんかいい気分になるんです。
「私、良いことしたなぁ」なんて思うかもしれません。
それでは、路上で駐車禁止の場所に堂々と長時間車を停めている人がいるとしましょう。
その車のせいでとても道が通りづらくなっています。
これも迷惑ですよね。
車を避けて通るんだけど、とっても腹が立ったりします。
この二つの例の違いって何なんでしょうか?
「迷惑」ということでは同じはずなのに。
そうです。
「助けて」 と 「(助けてくれて)ありがとう」
があるかないかなんです。
つまり人は、誰かに依頼されてそれに応じた時に「貢献感」を得られるんです。
つまりつまり!
迷惑かけられた方には実は良いことが起こっているんです。
先ほどの路上駐車の件も、
もし、運転手さんが
「車が故障してしまったんです。レッカー車を呼んでいるので少しここに停めさせてください。」
と申し訳なさそうに言っていたらどうでしょう?
苛立ちよりも「かわいそう。なんか力になれないかな?」とか思うわけです。
家で妻がイライラしながら家事をしているととっても迷惑なんだけど、、
「ごめん。ちょっと大変だから手伝ってくれない?」
と言われると夫は
「しゃーないなぁ」なんて答えながらも動き、
「ありがとう」なんて妻から言われると嬉しいもんなんです。
ちゃんと迷惑をかけるってこういうことなんです。
だから迷惑をかけないように頑張るのではなくて、「助けて」と人に依頼してちゃんと迷惑をかけるんです。
そして大切なことを最後に。
周囲に「助けて」が言えない人って、
結局は周囲の人のこと信じていないし、「あなたは私には不必要だ」と言っているようなもんなんです。
逆を言うと、「助けて」が言えるということは、周囲の人を信頼しているし、相手の存在を尊重しているということでもあるんです。
説明が長くなり申し訳ございません。
ぜひ「迷惑をかけないように頑張ること」よりも
「上手に迷惑をかける技術」を磨いていってください。
イロハニトイロ所長
金村栄治