イロハニトイロ

vol.42‐⑤【内職】いいのは上手くいっている時だけ?

前回の続きになります。

「安易な内職作業導入」によって失うものや引き起こす害についての考えを話させていただいています。

これまで4つの事をお話ししてきました。

そして5つ目です。それは、

❺ いいのは上手くいっている時だけでいずれ上手くいかなくなる。あるいはそこに留まり続ける。

内職作業は基本的に単純作業のものが多いです。

だからすぐに慣れることができます。

作業を上手くやれている間はとてもいいんですよね。楽しい。

どうしてかというと、文句を言われないだけのことができているからです。

要領も分かっているし困ることもない。

上手くやれている。

でもですね、いずれ次のステップを望まれるようになります。

となるとですね。

いつかは上手くいかないことに出会う時が来るんです。

「え?それって当然のことでしょう?」

「そうやって少しずつ能力を高めていくもんでしょう?」

と思われるかもしれません。

もちろんそうやってステップアップしていけばいいと僕も思います。

ところがですね。

実は多くの人が “失敗” に弱いんです。

「上手くいかない」「間違える」「失敗する」が怖いんです。

だってそうですよね。

内職作業を選ぶ方の心にはそういう“弱さ(傷つきやすさ)”があるからです。
(金村も単純作業の繰り返しが大好きです。それは挑戦して失敗するのが怖い、弱い人間だからです。本当はとっても弱い、怖がり。)

そうじゃないならもっと別の作業を選ぶことでしょう。

やっぱり失敗が怖い。

不明確さや変化が怖い。

だから “できることしかしなくなる” という傾向が強まります。

つまり、傷つかないラクな状態に留まり続けようとしてしまうのです。
(「自分を守っている」という部分ではとっても良いことです)

そして、ちょっと今から嫌なこと言います。

ごめんなさい。

傷付かないし、お金も少しもらえるけども、同時に変化(成長)もしないし、本当に望むほどのお金ももらえない。

(※ここも誤解無いように説明が必要ですね。変化が正しいことだと言いたいのではありません。安定も大事です。自分にあった単純作業をし続けることが悪いわけでは決してありません。何が問題かというと、それを他者から与えられているということです。自分が選んでいるのではない、ということの有害性です。)

そしてそして最も厄介なのが、そんな上手くいかない現状を正当化する理由をたくさん集め出してくるんです。

「だって病気なんだもん」 (←病気が必要になってきます)

「だってお金が少しでも欲しいもん」 (←貧乏が必要になってきます)

「だって難しいことできないもん」 (←できない自分が必要になってきます)

「だって他の仕事はあの人がいるから、この作業しかできないもん」 (←嫌う他者が必要になってきます)

どんどんどんどん作り出していきます。

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(余談)

先日、テレビを観ていて昨年亡くなられた精神科医・中井久夫さんのこんな言葉が紹介されていました。

「たくさん理由があるのは、理由が無いのと同じ」

つまり、私たちは現状の上手くいかないことの理由付け、あるいは挑戦から逃れるための理由付けとして、たくさんの「出来ない理由」を探し出してくる。それはもう「理由がない」ことと同じなんだ、ということです。

この傷つきやすさも、苦労も苦しみもあることで助かっている。

自らその理由を創り出すことで自分を保っている。

そんな健気な存在が私たちなんです。

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イロハニトイロはそれをやめたい。

せっかくイロハニトイロに来たのだから、ここではそれをやめていただきたい。

(金村もやめるように頑張っています)

だなぜなら、イロハニトイロのために利用者がいるわけでは無いからです。

それぞれ個人の為にイロハがあるんです。

それは個人が望むステップに向かっていくということです。

留まり続ける場所ではないんです(もちろん留まる期間も大切です)。

今日はこの辺にさせていただきます。

まだもう少しだけ続きます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

          イロハニトイロ所長

               金村栄治