vol.40-⑭ この先にあるものに価値を置く!?
- 2022年12月05日
- 所長の学び
前回の続きになります。
「怠け者の集団」という快適ゾーンを経て、自ら学び進んでいく「学習ゾーン」に移っていくことが出来るのに、ついつい快適ゾーンの心地よさからその場に留まろうとする現象が生まれてしまう。
これを“エコーチェンバー現象”という、とお話をさせていただきました。
そしてイロハニトイロは、「怠け者の楽園」になりつつあったことにも気づかされたというお話しでした。
そして、ここからが現在取り組んでいる内容になります。
斎藤徹さん(ループス・コミュニケーションCEO/学習院経済学部の特別客員教授/Innovation team dotアドバイザー)がおっしゃるには、
「学習ゾーン」に向かうためには3つの「価値デザイン」というものが必要だというんです。
それは何かというと以下の3つです。(※イロハなりの言葉で書かせていただきました)
① 新しい価値を作り上げることに意識を向けること
② さまざまな意見を出し合い新しいアイデアを生むこと
③ 安心感を自分たちで作り出していくこと
それぞれをイロハの取り組みと共に説明させていただきます。
① 新しい価値を作り上げることに意識を向けること
「嫌われないため」「自分が悪く思われないため」「トラブルを起こさないため」に周囲の顔色をうかがいながら、自分を押し殺しながら動くのではなく、
共に価値あるものを創造するために動く(意見する)ということです。
いかがでしょうか?
こんな意見言ったら「変な事言っていると思われる」「場を乱してしまう」「間違ったこと言ったらどうしよう」、
そう思って周囲に合わせるという経験はないでしょうか?
これって自分の立場の事ばかり考えているんですよね。
その裏には常に「不安」があります。
「傷付けられるかも」という不安があるから、「価値創造」の方に意識が向かず、自分を守ることばかりに意識が向いてしまいます。
これがイロハでは無くなってきたということです(もちろん新しく入ってきた方は、不安を抱えていますから、この段階に至るまでに時間がかかります)。
現在「工賃アップ」のために様々な話し合いがなされており、そのどれもがメンバーの中から出てくるものばかりです。
「工賃アッププロジェクトチームを作りたい」と名乗り出て下さった方もいらっしゃいます。
このようにして自ら考え、動いてくださっています。
② さまざまな意見を出し合い新しいアイデアを生むこと
イロハニトイロでは「ハーモニー」ではなく「ポリフォニー」を大切にする意識が育っています。
「ポリフォニー」とは、“多声的”ということです。
つまりですね、違った考えや正反対の考えが出せていることが素晴らしいという考えです。
人は皆感じ方も考え方も価値観も違っています。
それは育ってきた環境が違うからです。
だからこそ、たくさんの違いを出し合い、それが新しいアイデアを生み出していくのです。
「ハーモニー(調和)」って、
「相手に合わせなきゃ」「迷惑かけないようにしなきゃ」って思って結局強い誰かの偏った意見に引きずられてしまいます。
オーケストラの指揮者にみんなが従うように。
経験ありますよね?
イロハはそれをしません。
したくないのです。
こんな風に多声的にいられるためにも、土台には“安心”が必要なんです。
③ 安心感を自分たちで作り出していくこと
「あれ?また安心?」と思いませんでしたか?
「快適ゾーン」というのは“安心”が土台にある。
だから「学習ゾーン」に進んでいく。
なのに、学習ゾーンに進むためにまた「安心」を作り出す、と言っています。
「???」 ですよね。
とても手前味噌な言い方ですが、僕はこここそ他の事業所には決して負けないイロハが持つ強みだと思っているんです。
そしてこれがあるからこそ、最高で最強のチームを作ることができるんだと信じているんです。
つまりですね。
いろんな意見を出し合って、様々な考えが新しい価値にまとまっていくことって、文章で書いたらとってもキレイなんですが、実際を想像したら怖くありませんか?
だって自分の意見に対して反対意見を言われることもあるし、「どうしてそう思うんですか?」と深く聞かれることもある。
ときには「それってこうなるから大変なんじゃない?」と否定されることだって起こるわけです。
こういうやりとりを繰り返しながら新しい価値やアイデアをみんなで創造し、進んでいけるわけですよね。
じゃあじゃあ、「これって安心が土台であればできることなの?」と考えてみると、、、
いや、きっとできないんですよー。
どうしてかというと
誰もが経験あると思うんですが、
安心できる場所(家族、恋人、親友)だと思っていても、些細な意見の食い違いから喧嘩になってしばらく口をきかないみたいなことです。
そうなんです!
「安心の場」「安心の関係」というのは、その場にいる人たちで常に醸成していく必要があるんです。
それでは、イロハのどこがそこに長(た)けているのかというと、
誰かが “毒” を吐いた時(攻撃的だったり、批判的だったり、不穏な空気にさせる意見)、
必ず誰かが “中和” してくれるんです。
これは本当に不思議ですが、必ず誰かがそれを担ってくれるんです。
Aさんの意見に対してBさんが否定的なことを言ったりすると、
「Aさんの意見も一つだと思う。Bさんの視点も確かに大事だよね。」
とか
「勇気出して反対意見を言ってくれたBさんの意見も大切にしたい」
とかとか。
さらには、少し話題から逸れたことを言って脱線してしまう事だってあります。
でもその脱線から新しいアイデアが生まれたり、場を和ませたりしてくれます。
そればっかりは、スタッフだけでできるものではないんですよね。
みんなが、
「意見の言い合って良いアイデアを出したい」という願いと
「ここにいる人たちは仲間なんだ」という感覚と
「この話し合いが自分のためにもみんなのためにもなる」という意識が必要だと思うんです。
そんな集団にイロハニトイロが育っていっていることをとても嬉しく思うのです。
いかがでしたでしょうか?
少しイロハの現在の状況がお分かりいただけたでしょうか?
今回も長くなったのでこの辺で終わらせていただきます。
次回で「vol.40」を最後にさせていただきたいと思います。
ぜひ最後までお付き合いください。
イロハニトイロ所長
金村栄治