イロハニトイロ

vol.40‐⑫ 共感が安心を育む?

前回の続きになります。

自分たちで考え、動き、協力し合い、学び合える組織を作るためには “安心” が土台として必要だというお話をさせていただきました。

そしてその「安心を作るために必要な要素」が、ずっとイロハがやっていることだったのです。

それを今回は公開したいと考えています。

それでは早速ですが、

斎藤徹さん(ループス・コミュニケーションCEO/学習院経済学部の特別客員教授/Innovation team dotアドバイザー)がおっしゃるには、

「共感デザイン」が必要だと言うんですよね。

え?どういうこと?

ですよね。

その内容は以下の3つです。(※イロハなりの言葉に変換して書いています)

① ありのままの自然な自分に戻ること

② 他の人も自分と同じ人間として尊重すること

③ 自分の弱さを公開し本音で話せるようになること

どのあたりがイロハでやっていることなのか、一つずつ説明していきますね。

① ありのままの自然な自分に戻ること

  イロハの理念は「それでいい、それがいい、それでもいい」です。

  つまりどんな自分でも「それでいい」と許すことを大切にしています。

  自分がどうしたいのか、どうありたいのか、何を感じ何に傷ついたのか。

  そんなありのままの自然な自分の心を取り戻すことを大切にしています。

  だから遅刻してもいいし、サボってもいいんです。(遅刻やサボることが良いことだと言っているんじゃないですよ。遅刻もサボることも、その時の自分を大切にすることであれば必要なことだということです)

 

  それがありのままの今の自分の心にアクセスしての行為であるのなら。

 

② 他の人も自分と同じ人間として尊重すること

  私たちは自分を大切に出来るから他者も大切にすることができます。

  だからまずは「このかけがえのない自分を大切にすること」をイロハでは最も大切にしてます。

  そして、自力ではなく「他力(他者を頼ること)」を大切にしています。

  他者に頼るって、相手を尊重し信頼していないとできない事なんですよね。

  そして相手を信頼するためには、「相手を信頼する自分」を信頼していないとできないことなんです。

  そしてそして何よりもイロハの特徴である「誰がスタッフで誰が利用者か分からない」ということも対等な存在として尊重し合う関係から生まれているものです。(見学者や新規利用者さんによく言われます)

  

③ 自分の弱さを公開し本音で話せるようになること

  イロハでは自分の思いを相手に伝えることを大切にしています。

  「私は弱いんだから周囲の人が “察して動いて欲しい” 」ということはイロハでは通用しません。

  (ま、たまに察してあげることもありますけど~。基本的にはしません。)

  つまりきちんと「わがままを言う」ということを大切にしています。

  (「遠慮をしない」とは少し違います。「遠慮しない」って傍若無人な感じしません?)

  わがままを言って周囲に迷惑をかけることを大切にしています。

  実は「わがままを言う」って自分を大切にすることなんです。

  そして相手を信頼して頼ることなんです。

  ちゃんとわがままが言えると実は相手も「しゃーないなぁ」と言いながらも頼られて嬉しい

  こういう自分のためにも相手のためにもなる「迷惑」を掛け合おうというのがイロハの考えです。

  自分も〇(マル)だし相手も〇(マル)。

  だから相手の話にも耳を傾けられるんですよね。

  だからこそ自然と「対話」の姿勢が生まれる。

  イロハでは、「自分を語る会」や「ファミリーオブオリジン(自分のルーツを語る会)」などなど、自分の事を話す機会がたくさんあります。

  こうやって本音で話せる関係を日々時間をかけて作っていっているんです。

ご理解いただけましたでしょうか?

イロハではこんなことを日々大切にしているからこそ、仕事以上に雑談相談が多くなってしまうし、仕事をしない人も多く、はたから見たら「怠け者集団」に見えてしまいます。

「いやいや、それは別の施設がすればいいでしょ! 就労B型は仕事をする施設ですよね。仕事の訓練をする施設ですよね。」

「雑談や相談もいいけど、それと仕事はメリハリつけて分けて取り組まないとダメだよ。」

そんな声が聞こえてきそうです。

もちろんイロハは就労支援施設です。

だからこうやって就労の訓練をしているんです。

いかがですか?

まだ見えてこないでしょうか?

まだきちんと理解されることはもう少し説明が必要かもしれません。

今回は長くなってきたのでこの辺で終えさせていただいて、次回これからどうなっていくのかをお話しさせていただきます。

「怠け者集団」を作ることが正しくて、それがゴールだと言っているのでは決してないということです。

これは過程の一つであるということです。

この続きを次回お話しさせていただければと思います。

             イロハニトイロ所長

                  金村栄治

※「所長の学びブログ」は毎週月曜日に更新予定です。たぶん。。。