イロハニトイロ

vol.19 感動しました!ありがとう!

今週、作業療法士の学生さんの実習がありました。

実習生の受け入れは初めての試みです。

たった3日間だけの実習でしたが、とっても素敵な気づきと感動があったので、久し振りにブログを書かせていただきました。


所長をさせていただいている僕(金村)は、
実は「作業療法士」という資格を持っています。

病院に勤めていた以前の僕は 「作業療法士らしさ」 をいつも考え、実習生に対しても「作業療法とは」「治療とは」「支援とは」を熱く指導していたわけです。


でも現在の僕は違います。
「作業療法士」としてではなく「金村栄治」として、イロハに通う皆さんと関わりを持たせていただいているのです。

自分では「作業療法士を捨てた」と思っています。
そんな今の方が「作業療法らしいことができている」と思うのですが、それは専門的な話になるので今回は置いておきます。




今日、お話ししたかったこと。

それは

イロハって素敵だな!


ってことです。
自分もそこに所属しているはずなのに、何かとっても素敵な場所だなって他人事のように感動したんです。

何か変なお話しでもありますが、それをお伝えします。
メンバー達には話していなかった僕の考えていたこと(裏話)も含めて。



今回は、形の上では金村が実習の指導者という事になります。

でも、僕は指導しない様にしようと思ったんです。

学生さんにも最初にお伝えしました。

「自由にしていいからね」

「どんな実習になってもいいからね」

「学びは自分でするものだから、僕から押し付けるものじゃないからね」

「質問は、誰にいつしてもいいからね」

「ここでは、叱られる、怒られるはないからね。大丈夫だよ」



そんなことを言われても、緊張するのが学生さんです。

「良い学生」でいようとしてしまうものです。


金村に「自由にしていい」なんて言われても、
どうしていいか分からず、困っています。

むしろ「自由だからしんどい」わけです。

あ、ちなみに学生は男性2名です。

2人でどうしたらいいか分からず寄り添って固まっています。




それでも僕は何もしないんです。

「あれしなさい」「これしないさい」なんて一切言いません。


きっと学生さんは辛かったことでしょう。

でもイロハでは大丈夫なんです。


ちゃんと、話が上手なメンバーさんが

「どこから来たの?」
「うちも君くらいの息子がいてさぁ」

などなど話して緊張を和らげてくれます。


そして、

他のメンバーが一緒に作業をしようと誘ってくれて、作業を教えてくれます。

ハーブ作業、裁縫作業、畑作業、螺鈿作業、
僕が何も言わなくても、自然と学生さんは体験していってくれています。


お昼になれば、収穫した野菜を切り分けて学生に勧めてくれる方や、冗談を言ってたくさんお喋りをしてくれる方もいます。

一緒に煙草に吸いに行こうと誘ってくれたりもします。


そして送迎車の中では、
「感じる事を大切にしないといけないよ」
「自分を大事にするんだよ」
などと語り掛けてくれるメンバーもいます。

所長である僕をあえて学生の前でけなしたり、馬鹿にして、
「権威なんかいらないよ」
「僕らは対等でありたいんだよ」
と教えてくれます。

実習の最終日にはわざわざ電話をしてきて学生にメッセージを残してくれる方もいます。

こうやって、イロハ全体が、全員が実習生を温かく迎え入れ、たくさんのことを教えてくれているんです。

そんな学生とのおしゃべりの声や関りの様子を、僕(金村)は遠目で見ながら温かい気持ちになっていたんです。

そしてあえて、その中に僕は入らないようにしました。
もっともっと皆さんに活躍していただこう。
もっともっと助けていただこう。
もっともっといろんなことを学生さんに教えていただこうと思いました。

そして学生自身にも、自分で動くこと、自分で学ぶこと、ありのままの自分を大切にすることを学んで欲しいと思い、一切口出ししないようにしました。

そうやって、あっという間に終わった3日間の実習です。

普段はしない、「帰りの会」を最終日に行い、皆さんから感想をいただきました。

そこで素敵な話がたくさん出てきました。


学生さんとの関わりを通して、1年前にはできなかったことができている自分に気づけた。

学生さんに喜んでもらえることが嬉しかった。

新しい風がとても楽しかった。

などなど、メンバーもスタッフも学生さんが来てくれたことでたくさんの学びがあったんです。

そして学生さん自身も、何もしていないと思っていたけど、いろんな人に影響を与えて役立っていたことに気付けたようです。

もちろん、それだけ素直で、優しい、素敵な学生さんだったからということもあります。

(個人的には、若い学生はみんなそういう素直で素敵な子ばかりだと思っています。だってみんな資格を取るために、将来のために頑張っている子ですもん。出来ない子を作っているのは、指導者や周囲の人間だと僕は思っています)


僕が一番学生さんに気付いて欲しかったこと。

あなたは存在するだけで誰かの役に立っている

ということです。

本当の支援とは支援しないこと

ということです。


最後の学生の感想で、その辺りの事が少し感じられたような言葉が聞けました。

たった3日間という短い期間でしたが、学生にもメンバーにもスタッフにも学びの多いものになったと感動したのです。

そして何よりも感動したのが、

イロハのメンバーさんの温かさと強さです。

こんな方々がいてくれて、イロハは成り立っているんだ。
本当に素敵で、ありがたくくて、そこでともに居させてもらっている事に改めて幸せを感じました。


皆さんありがとうございます。


またこれからもいろんな学生さんに来ていただいて、素敵な時間が過ごせたらと思います。

きっとまた金村は、皆さんを信頼して、丸投げすると思います。

これからの未来を担う学生さんに、若いうちにイロハのマインドにぜひ触れていただきたいものです。


最後に、他の職種のスタッフが学生さんに「良い作業療法士になろうとしないでくださいね」と言っていたのが僕は、とっても印象的でした。

うんうん。

イロハのスタッフはみんなダメだからいい!
そこをちゃんと理解できている者同士で仕事が出来ていることに幸せを感じた金村なのでした。
おわり。


金村栄治