イロハニトイロ

vol.44-⑪【対話】対話って違いを見つけるためにある?

前回の続きです。

僕は「対話」というものが、相手と仲良くなるためのものだと思っており、

仲良くなるためには、より同調し合える事だと思っていて、

「頭」で様々なことを考えながら、目の前の相手と話していたんです。

つまり「ハーモニー(調和)」を意識して対話をしていたんですよね。

ところが本当の対話とは、「ハーモニー」ではなく「ポリフォニー」であることを知りました。

僕にとっては目からウロコでした!

本当に目からウロコがぽろぽろと剥がれて、世界の見え方が一変してしまう感じがしたのです。

今日はこのあたりの解説を金村の経験をもとにさせていただければと思います。

「ポリフォニー」とは日本語で簡単に訳すと「多声的」ということです。

漢字の通り、多くの声があるということです。

つまり様々な違った声があることが自然であり、それらの違いで成り立つような状態です。

なんか難しい話をしていますね。

僕はいつも音楽をイメージするんです。

ハーモニーというと、様々な楽器や声を使って、ひとつの曲を奏でる感じがします。

つまり一つの作品の為にさまざまな音や声を合わしていき調和するというイメージです。

人間同士もそういうものだと思っていたんです。

あなたと私は別の個体なんだけど、その個体が調和し合えるように関わり対話していく。

調和って素晴らしいし気持ちがいい。

でもその裏では、「自分の思い」は押し殺すわけです。

相手に合わせるために。

音楽で言うなら、「自分が今出したい音」ではなく、「相手に求められている音」「相手を邪魔しない音」「相手と調和できる音」を選んで出すということです。

それじゃあ、「ポリフォニー」ってどういうことでしょうか?

これも音楽でイメージすると、

その場に居る人が好きな楽器や声を使って好きに音を出している、って感じです。

もう楽器というこだわりさえもなく音や声を今の気分に合わせて出している。

でもその空間はは一人ではないわけですから何かしら周囲の音の影響を受け合っているわけです。

お互いの音の影響を受けながら湧き上がってくる自分の出したい音が変わり、

それらが自然と心地よく混ざり合っていく、そんな感じです。

ジャズがそれに近いんですかね?

僕は音楽があまり詳しくないのですが、音楽好きの方にこのことを話すと、

「分かる分かる。

音楽ってその場で即興で好きな音楽を奏でて合わせていくみたいなことするんだよ。

グルービングって言うんだけど。

対話もそんな感じかもしれないね。」

などと話していました。

音楽で例えると、逆に分かりづらくなりましたか?笑

つまりですね。

対話って相手との共通点を見つけて同調していくことではなくて、

むしろ逆、

相手(数人の対話も同じ)との違いをより明確にしていくことだったんです。

自分と同じ人なんて世界で一人もいないわけです。

目の前の人と同じには決してなれないんです。

この当たり前に存在するかけがえのない「私」「あなた」の違いをただ違いとして明確にすること、

それが対話だったんです。

そうなんですよね。

「私と違うから敵」

「私の存在を脅かすもの」

「違う世界の人」

ではなくて、

「違いがあるから認め合える」

「違いがあるから助け合える」

「違いがあるから学び合える」

「違いがあるから興味が湧く」

「違いがあるから自分のことも認められる」

むしろ違いを深く知り合うことが、“共存”に繋がっていくということなんです。

フィンランドでうまれた「ムーミン」というアニメですが、

とっても登場キャラが個性的でみんな違うんです。

(実は僕はちゃんと観たことないので聞いた話でごめんなさい💦)

そしてムーミンが主役のはずなのにムーミンが出てこない回がよくあるそうで、

そして最終回には、ムーミンが出てこないのだそうです。

おもしろいですよね。

同調圧力の強い日本の文化とは異なり、フィンランドはこのポリフォニックな思想が当たり前に存在する文化なんだそうです。

そんな文化も精神障害者の8割が完治に至る原因になっているのかもしれませんね。

話が逸れましたが、いかがでしょうか?

「ポリフォニー」について少しご理解いただけたでしょうか?

「そんなこと言ったって、好きなこと喋ると日本人はすぐに“あいつは空気が読めない”とか“変な奴”とか言う人が多い。フィンランドはフィンランド。日本は日本。同じにしたらダメ。」

なんて言葉が聞こえてきそうですね。

もちろん金村も同じ疑問が当初は湧き出てきたのです。

でも少しずつ対話を知るにつれて、多くの気付きを得ていったのです。

ぜひもう少し「対話」についての金村の気付きと学びにお付き合いください。

そしてその「本当の対話」が「心」を癒していくことに繋がっていきますので。

そして最後には、だからイロハニトイロは「対話」を大切にしている、に繋がっていきます。

また来週お会いしましょう。

        イロハニトイロ所長

             金村栄治