vol.49-㊾ 支援者が障害を作っている?!

病気を治そうとするから治らない(9)
支援者は、
妄想が激しいと、妄想を修正しようとしてしまいます
幻覚が見えると、幻覚を無くそうとしてしまいます
昼夜逆転していると、昼夜逆転しないようしてしまいます
自傷行為をしているとやめさせようとしてしまいます
お金を散在しているとお金がきちんと使えるように管理しようとしてしまいます
これが健康になる為の過程?!
それを阻害しているのが支援者?!
そんなはずない!
そう思いますよね
以前お話ししました
病気はその人を守っている
と
病気は健康になる為の過程である
と
妄想だと決め付けているのは支援者の方です
本人は現実だと思っている
幻覚はその人に起こっている事実です
支援者には見えないものが、聞こえない声が聞こえるんです
それを教えてくれている
それでいいじゃないですか
昼夜逆転は心を救うためのものです
昼間起きていると自分が惨めに思えるから皆が寝静まった夜に活動する
自分の心を守ろうとする自然な営みです
それくらいに昼間が怖いわけです
自傷行為があるから救われているところもあります
それで生きようとしている
お金の散在も間違いや失敗の経験、つまり学びの機会です
とても大切な経験の最中です
妄想を支援者が否定するから、あるいはちゃんと聞いてくれないから
どんどん自分の中の妄想的考えを強化していく
幻覚を支援者が治そうとするから、誰にも言えなくなりどんどん自分の世界(幻覚・妄想)を強化させていく
昼夜逆転を治そうとするから、苦しさを理解されない昼間が怖くなり昼夜逆転が起こっていく
自傷行為を否定しやめさせようとするから、死につながるようなものに悪化していく
失敗や間違いをさせないようにするから、周囲が困るような失敗や間違いが繰り返されていく
これらのことについてイロハニトイロを卒業された方の言葉がとても分かりやすかったので紹介させていただきます
『私は、底に穴の空いたボートに乗っているようなものだった。
このまま沈んでいいって思って、穴を自分で塞ごうともしていなかった。
でもその船にイロハのスタッフが乗って来た。
その人は、ボートの穴を塞ごうとせず、そして「塞ぎなさい」と言うわけでもなく、ずっと流れ込んでくる水をかきだしてくれていた。
ボートが沈まない程度で。
自分はもう沈んでもいいって思ってるのに、その人は「それでいい」って言いながら、水だけをひたすらかきだしてくれていた。
そんな時間が続いたある時、自分で穴を塞ごうかなと思えてきた。
いつしか、自分で穴を塞ぐようになっていた。』
もし、イロハのスタッフがその船底の穴を塞ごうとしていたらどうなっていたんですか?
と尋ねてみると
『自分で別の所に穴を空けていたでしょうね。
だって穴を塞がれたくなかったんだから。
何で塞ぐの?!って思って別の穴を空けていたと思う。』
お分かりでしょうか?
治そうとすれば治らないということの意味が少し伝わりましたでしょうか?
問題(病気)は、現在のその人にとって必要な物(船底の穴)なんです
それを支援者が塞(ふさ)ごうとしても、別の所に穴をあけるだけ
つまり形を変えて問題を起こすだけ
本人が自分の意思と力で穴を塞ごうとすることが大切なような気がしています
そう思える支援をすることが本当の支援ではないのかな?
次回そのことについてもう少し詳しくお話しさせてください
イロハニトイロ所長
金村栄治