vol.49-㊲ 支援者が障害を作っている!?

自立させようとして自立を妨げている支援者(4)
前回の続きです
支援も同じだと思うんです
① 支援者が、「目の前の患者さんが困っている、傷ついている姿」を見るのが嫌
② 支援者が目の前の患者さんを良くしたい、と思っている
③ 患者さんを良くすることが支援者の責任だと思っている
これらの支援者の考えが、患者さんを自立させようとして自立から遠ざけることになっている
そんなふうに思うんです
一つずつ、詳しく見てみます
① 支援者が、「目の前の患者さんが困っている、傷ついている姿」を見るのが嫌
これは誰のことを言っているのでしょうか?
そうです
支援者です
患者さんのことではなくて、支援者の都合ですよね
前回お話したように、失敗、間違い、傷つき、ということが自立にとって大切なことです
もし親が、
子供が傷つくのが怖いから集団生活をさせない
ケガするのが怖いから遊具で遊ばせない
失敗させたくないから代わりにしてあげる
これって親の都合ですよね
この、親が不快感(不安や心配、恐怖)を感じたくないために
子どもは多くの自立の機会を失ってしまうことになります
これと同じことをしているように思うんです
相手(患者さん)のためと言いながら、結局は自分(支援者)のための支援になっている気が僕にはしてしまうのです
② 支援者が目の前の患者さんを良くしたい、と思っている
「良くしたい」の「良く」は誰の価値観でしょうか?
そうです
これも支援者の価値観です
「いやいや、一般的な価値観を言っているだけ」
という反論の声か聞こえてきそうです
その一般的って何なのでしょう?
みんなと同じであれ、ってことでしょうか?
ということは目の前の患者さんには、
「そのような一般的な状態ではない、そんな今のあなたはダメな人」
ということを伝え続けているってことですよね
おぉぉ、これって苦しい、、、
そして
「生活保護もらいながら、家でゲームして引きこもる生活をしたい」
はダメなことで
「引きこもりをやめて、仕事ができるようになりたい。生活保護から抜けたい」
が良いこと
支援は、そのような“支援者の考える”良い方向に導くこと
そういうことですよね
これも支援者の都合です
そして相手の存在への否定ともなっています
③ 患者さんを良くすることが支援者の責任だと思っている
患者さんを良くすることが支援者の責任?
これ間違っていないですよね
そのために支援者はいるわけです
でもこの「責任」を患者さんに押し付けてしまっていると僕は感じるんです
その人(患者さん)の代わりにその人の人生を生きてあげることは支援者にはできません
一生そばにいて、助けてあげることもできません
なのに、支援者の価値観の上での良い方向に導こうとし、
本人の“愚行権”は認めず、
自立から遠ざけている
「支援者としての責任」が
気付かぬうちに患者さんが自分の人生を生きる責任を奪っている
いや、「患者さんの人生の責任を担うこと」と勘違いしてしまっている
「支援者としての責任」が、
自分が困りたくない、ダメな奴と思われたくない、という支援者の弱い思いによって
知らず知らずに患者さんを支配することに変わっていってしまう
それを優しい態度でするんですからタチが悪い
何度も言いますが、今話していることはこれまでの金村のことです
僕はこんな支援者だったんですよね
こんなことを気付きもせずにやってきた
「患者さんの為」と言いながら「自分の為」の支援をして、
自立から遠ざけるだけでなく障害を作り続けていた
これまでの自分への戒めの気持ちで話させていただいています
まだお話したいことがあるのですが、長くなってきたので続きは次回にまわさせていただきます
最後まで読んでいただきありがとうございました
イロハニトイロ所長
金村栄治