イロハニトイロ

vol.49-⑳ 支援者が障害を作っている!?

支援の方針を他人が決める(2)

前回の続きです。

それでは心の病になった人はどうなんでしょうか?

「いやいや、心の病も一緒でしょー!

しんどくて苦しいから病院(クリニックなど)に行き、専門家に診てもらい、治してもらおうと思っている!

自分で望んで行っているじゃないか。」

「実際、薬飲んで楽になった人もいるし、社会復帰した人もいる。

心も体も同じ。」

そう思われるかもしれません。

本当にそうでしょうか?

もしご自身で治療を求めて病院に行かれたのであれば、まさにその通りだと思います。

でも多くの人が、「仕方なく病院に行った」あるいは「病院に行かされた」「連れてこられた」という方が多いのではないでしょうか。

心配する家族に連れられてきた。

職場の上司に病院で診てもらうように言われた。

あるいはトラブルを起こして警察に連れてこられたという方もいらっしゃるかもしれません。

そしてもっともっと僕がやっかいだと思っているのが「引きこもり支援」です。

(あ、引きこもり支援を否定しているのでは決してないです。

この後を読み進めていただければきっとその意図が伝わると思います。)

「引きこもり支援」の言葉に込められたメッセージって、

「引きこもることは良くないよ」というものです。

本人は、引きこもるだけの何か理由があるわけですよね。

いや、引きこもる目的があるわけです。

でもそれら全てを否定するかのようなニュアンスが引きこもり支援にはある気がしてならないのです。

(あくまで“ニュアンス”です。雰囲気です。実際に支援者がその人を否定しているかどうかは分かりません。でもきっとちょっとはあるはず。)

それが、どのように今回のテーマと繋がっていくのかというと、

本音が言えない環境ができてしまっているということです。

その原因がこの世間の「正しさ」「常識」「当たり前(多数派)」です。

「○○支援」「○○療法」にはもうすでに「正しさ」が含まれている。

つまりもう既に「あなたは間違っている」という否定が含まれている。

そこの苦しさを僕は今伝えたいのです。

(僕はそれに気づかず、ずっと善意の刃で傷つけてきたしまったので。)

つまり、「あなたはどうしたいですか?」と引きこもっている人に聞くと、

「引きこもりをやめたいです」「社会復帰したいです」となるということです。

そしてその言葉を元に、支援者が支援の方針を支援者たちで決めていきます。

本人の意向を汲み取っていると思い込んで。

でも本当はどうなのでしょうか?

だって引きこもりたい理由がある。目的がある。

でもそれが「正しくないこと」だと分かっている。

そんな自分を「良くする」ために支援の人がやってくる(家族からの依頼で)。

そして、「どうしたいですか?」と聞いて来る。

でもそこには求められている答えがあることもわかる。

間違っている私の思いよりも、求められている正しい答え。

「引きこもりやめたいです」「社会復帰したいです」しかありませんよね。

でも一向に良くなっていかない。

一向に引きこもりから脱しようとしない。

同じことの繰り返し。

そりゃそうですよね。

だってそれって本音じゃないからです。

(本人も本音じゃないと気付いていないことも多いです。だから本人もなぜ上手くいかないのかが分からない。)

そしてこんなに多くの人が支援しているのによくなろうとしないのは、「自分の問題」だと思ってしまう。

いや「あなたの問題だ」と思われているような気がしてしまう。

そして、

なぜならこの人は「障害者」だから。

となってしまう。

「そう、私は障害者」と思い込んでいく。

ほんとに?

ほんとにこの人は障害者なの?

障害者に仕立て上げているのはもしかるすと…。

今日はここで止めておきたいと思います。

次回この続きをお話しさせてください。

      イロハニトイロ所長

           金村栄治