イロハニトイロ

vol.49-⑧ 支援者が障害を作っている!?

【もうひとつの不思議体験(続き)】

もうしばらくこのお話にお付き合いください。

自分を責めて責めて責めまくって、結局仕事に行けなくなりました。

具体的には、夜眠れなくなったのです。

実際は寝ている時間があったのかもしれませんが、まったく寝た感覚が持てません。

仕事に行こうとしてもズキズキと頭痛がしてきて。

それでもなんとか職場へ行くのですが、室長がもうすぐ来ると思うとさらに頭痛が強まるのです。

そんなだから、仕事に行っても早退する。

そんな日が続きました。

ここからが僕の経験した不思議体験です。

ある日、早退して電車で帰っていると僕の事を心配してくれる同僚の方からLINEを頂きました。

その内容は、

自分の事責めまくって、仕事もろくにできずにいるこんな状態の僕を「それでいい」と言ってくれるものでした。

上司や同僚に迷惑をかけ、ダメで弱くて情けない、そんな自分を「それでいい」と認めてくれるものでした。

「そんな金村さんが好きだ」

「そんな金村さんにいつも助けられている」

「そのままでいい」

そんな内容でした。

この時なぜか、「あ、こんな自分でもいいかも。」って思えたのです。

なぜそう思えたのかはわかりません。

「こんな自分をいいと言ってくれる人がちゃんとここにいる。

こんな弱い自分でもいいのかも。」

「うん。こんな自分でもういいや。」

って心の底から今の自分を許せたのです。

すると1分もたたないうちに、

それまで鳴り響いていた頭痛がまるで波が引いていくようにサ―――ッとなくなっていったのです。

そして

その日を境にぐっすりと眠れるようになったのです。

この不思議な体験の感覚は今でもしっかり覚えています。

「こんな自分でもいい」と自分を心から許せたとき、それまでの苦しみから一気に解放されることとなったのです。

(職場はその後退職して、現在の職場になります)

この二つの「不思議体験」。

つまり

①支援することをやめたら利用者さん(精神障害当事者)がどんどん良くなっていった

②「こんな自分でもいい」と自分を許せたとき病気がいなくなった

の体験を通して、

「支援者が障害を作っている」ということに僕は気付き始めるのです。

この二つの実体験をお話しておかないと今後のお話が、どこか空想的なものに聞こえてしまうと思い紹介させていただきました。

次回より、具体的に「どのようにして支援者が障害を作っていっているのか」を説明していきたいと思います。

               イロハニトイロ所長

                    金村栄治