vol.49-㉛ 支援者が障害を作っている!?
悪化するから良くなる(3)
前回の続きです
心(精神)も同じで、良くなるために悪くなる必要があります
それが自然なことなんです
ある精神科医の人が言っていたお話しでとても興味深かったのですが、
「回復傾向にある人は悪夢を見るようになる」
そうなんです
本当に悪い状態のときは、そんな夢すらも見ない
良くなっていく過程で悪夢を見るようになるそうなんですって
眠っている時に見る「夢」は脳の中の整理の役割があると言われています
悪夢を見ることで脳の中で恐怖な出来事や、不安な出来事などを想起させ整理していくそうなんです
そうやって病気で混乱した状態から正常な状態へ脳が回復していくそうなんです
おもしろいですよねーーー
心を病んだ方々は良くなっていく過程で必ず「悪くなる」を経験していきます
これを専門用語で「好転反応」と言います
だから悪くなることは避けることではなくて、
本当は今のその人に必要な「良い事」として捉え直してみる
イロハニトイロに通う多くの人が悪化をします
金村を憎み大嫌いになったりします(笑)
そのせい(状態悪化)で長期間休むという方も多いです
スタッフ(事業所)や他のメンバーに対して攻撃的になったり、帰ってから眠れなかったり
どうしてそんなことが起こるのか?
イロハニトイロは“トラブル”を大切にしてるからです
イロハは、スタッフがルールを押し付けることをしないから、自由です
自由だから当然トラブルが生まれます
これ自体は自然なことです
しかしここでトラブルをこじらせていく人というのは、自分の課題に向き合っているということなんです
お分かりになりますか?
例えば相手を尊重し譲る、というスキルを持っていれば、そのトラブルはすぐに解決しますが、
相手の立場に立って考えることが難しい方、自分の世界が正しいと思い込んでいる方は、ここで大きなトラブルに発展していきます
実はこの人は「自分を大切にする」という課題を持っている人です
(「相手」ではなくて「自分」です。自分を大切にしていないから相手を大切にできないのです)
あるいは「コミュニケーションスキル」の課題かもしれません
いずれにせよ、その人に向き合うべき課題が今ここにあるわけです
課題がまだ解決できていないからトラブルが大きくなっていくわけです
つまりどこに行ってもその課題を持ち続けている限り同じ結果が待っています
だからイロハニトイロでは“トラブル”を大切にしているんです
それはその人の成長の機会、つまりより生きやすくなる機会だからです
自分の課題(生きる困難さ)に向き合い、自分で克服していく
それができた方々はどんどん良くなっていきます
ここでいう「良くなる」は、仕事しやすくなる、利用回数が増える、薬が減る、といったことを指しています
それが生きやすさにも繋がっていきます
それではそんな良いこと(成長や変化)に繋がる目の前の「悪いこと」をなぜ私たちは避けてしまうのか
そのことを次回お話しできればと思います
イロハニトイロ所長
金村栄治