vol.49-⑰ 支援者が障害を作っている!?
「問題」ではなく「課題」を見つける
「問題」はその人にとってオリジナルなものであるはずです。
このブログを読んでくださっている方が支援者の方だったり、子を持つ親をしている方だとすれば、
ちょっと振り返っていただきたいんです。
皆さんこれまで、全く問題なく生きてきた方なんでしょうか?
あるいは、今も問題なく生きている方ばかりなんでしょうか?
きっと違いますよね。
全員多くの問題を抱えてきたし、今も抱えています。
そうやって問題だらけで生きています。
僕も問題だらけで日々生きていて、問題が無いなんて思ったことはありません。
それなのに、患者さんや子どもには問題を見つけ出して、それを解決させようとしてしまうんです。
不思議な話ですよね。
「自分はOK」で、「患者さんや子どもはNG」みたいな。
でも本当はそうじゃないですよね。
きっと自分と同じ思い(苦労)をして欲しくないとか、
自分も経験しているから解決策を知っていて教えてあげたいとか、
そんな思いがあると思います。
(他人の事なのに自分のことのように感じてしまう)
そして、ついつい問題に注目してしまうがあまりに問題を大きくしたり強固なものとしてしまいます。
そして問題を本人の代わりに取り去ったりしてしまうから、新たな問題を本人が作り出していきます。
(今の本人にはその問題が必要だから)
支援者が障害を作り出している仕組みが少しずつ見えてきたのではないでしょうか。
そんなことをしてしまう支援者の方こそ実は問題だらけであり、
変わるべきは支援者の方だと僕は思うんです。
もう「問題を解決すること」に固執するのはやめませんか?
もっと違うものに目を向けるべきなのではないかと思うのです。
皆さん、これまで多くの経験をしてきたと思うのですが、小学生の頃の大きな問題(多くが友人との関係や失敗体験、恥ずかし体験)を今でも抱えている人っていらっしゃいますかねぇ?
きっと多くの人が、今となれば良き思い出となっているはずです。
問題は解決していないのに、今の私にとっては問題ではないんです。
(僕の天然パーマがそうであったように)
ということは、問題はもしかすると「時間」や「環境」が解決してくれるのかもしれません。
なら「問題」は解決しようとする必要はなく、その人のオリジナルな問題を共に悩み見守るだけでいい。
つまりお話を聴かせていただいて共に悩むだけでいいと思うんです。
それは辛いよね。
それは苦しいよね。
いつでも力になるよ。
って。
きっと支援者が注目すべきところは
「問題」ではなくて「課題」なのではないでしょうか。
私たちは人生で乗り越えるべき課題がたくさん用意されています。
仕事(作業活動)における課題もあるでしょうし、
友人関係(対人関係)の課題もあるでしょうし、
親との関係(愛着問題)の課題もあるでしょうし、
恋人との関係(愛すること)の課題もあるでしょう。
その課題に向き合いたくない時に私たちは「問題」を作り出します。
きっと私たち支援者がすべき支援とは、
本人が今向き合うべき課題を明確にし、
共に向き合うことなのではないかと思うのです。
そして
その「課題」って、なぜか一人では分からないもんなんですよね。
だって他者がいて初めてそれらの課題は生まれるからです。
一人でいて満たされていたら、そんな課題は生まれません。
集団の中でいると、面白いように人生の課題が次から次にやってきます。
課題を克服出来たら、またひとつ上の課題が目の前にやってきたりします。
あれ?
これって障害があるとかないとか、健常者だとかそうでないとか、関係ありませんよね。
誰しもに起こること。
心のご病気を患った方は、そこのつまづきが大きかった方々なのかなと思うんです。
そして助けがなくてもがいている。
ただそれだけの事なのではないかと思うんです。
となると、その苦しみの中で耐えている方々なんだと思うんです。
その辺りのお話を次回させていただければと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
イロハニトイロ所長
金村栄治