イロハニトイロ

vol.46-⑩【勘違い】「傷つく覚悟」と「やってみる勇気」(後編)

長かった「vol.46」もこれで最後になります。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

外部の支援者の方々にたくさん勘違いをされているイロハニトイロですが、

一見すると宗教のように見えてしまう異様な環境の中で何をしているのか。

それを最後に説明して終わりにしたいと思っています。

私たちは、「支援者が障害を作っている」と考えています。
(vol.44-②参照)

精神病になったこともない、

精神薬も飲んだこともない、

精神病院に入院したこともない、

そんな人たちが、自分たちの正義や正しさを押し付けています。

そしてそれが正しすぎるから、正義だから、優しさだから、受ける方は従うしかありません。

そして正しさに反している病気の自分を否定しながら生きるしかありません。

支援者の「あなたの為」なんて言葉は大嘘です!

本当は支援者自身の為です。

自分の自尊心を満たすためです。

自分を守るためです。

自分の課題に向き合わないためです。

そこに従わされている当事者の方々。
(もちろん本人の自覚はありません。自覚があれば逃げられていますから。支援者が正しいから逃げられない)

こんな状況から抜け出し、たった一度の自分の人生を自分らしく幸福に生きられるためにどうすればいいのか、

私たち支援者は何ができるのか、

何をすべきなのか。

それはその人の人生の線路を敷くことではありません(不自由な生き方へ導いていることになる)。

その人の人生の苦労を肩代わりすることでもありません(その人の生きる責任を奪っている。尊厳を奪っている)。

その人を自分(支援者)の価値観に合わせることでもありません(奴隷を作っているのと同じ)。


その人が、

ご自身の人生の課題

ご自身で向き合い、

自分の望む未来(目標)に向かって

歩みを進められることを

応援することです。

それでは、その「応援」って具体的にどういうことなのか。

それは、

「傷つく覚悟」

「やってみる勇気」

育むことです。

「傷つく覚悟」があるから「やってみる勇気」が持てます。

だからこの二つは、同義でありセットです。

私たちは傷つきたくないから、孤立したくないから、苦しくても人に支配された不自由な生き方を選びます。

生き抜くために病気を作り、薬でごまかし、頑張って生きています。

何とか一日一日を生き抜いています。

そんな苦しさから

「本当の生きる苦労」を取り戻す

のがイロハニトイロという場所です。

「傷つく覚悟」と「やってみる勇気」を育むのに必要なのが、

「安心・安全」

「人とのつながり」

です。

一見、異様に見えてしまうイロハのすべての環境はこのためです。

イロハニトイロは利用者を助け上げません。

病気も治してあげません。

イロハに来て、価値観が変わり、世界の見え方が変わり、生きやすくなり、

自分の人生を自分の力で再構築していただく場所です。

これまで利用者さんと多くの対話を重ねて、やっとその土台が作られた感じがしています。

メンバー同士で語り合い、支え合い、学び合い、働くことを楽しんでいます。

どんどん工賃額も上がっています。

イロハニトイロは怠け者の楽園では決してないのです。

自らの尊厳を取り戻し、主体的に働くことが楽しいと思える就労集団なのです!

イロハニトイロは10年をかけてひとまず、思い描いている形にすることを目指しています。

あと4年。

結果どんな事業所になっているのか。

ぜひ温かい目で見守っていただければ幸いです。

もちろん、その時になくなっていたとしたら、

「ほら、みたことか!」と大笑いしてやってください。

        イロハニトイロ所長

            金村栄治