イロハニトイロ

vol.38-⑩ 多くの方々との出逢い!

vol.38では、イロハニトイロがどうしてこのような考えになったのか、
その理由を説明してきました。

そして、それは所長をさせていただいている金村自身の病気の経験が始まりだったこと。

そして、

訪問看護の経験を通して“障害”を作っていたのは支援者(僕自身)の方だった、と訪問看護利用者さんが気付かせてくれたこと。

そして、訪問看護利用者さんたちとの関わりを通して、人は誰もが自分の人生を自らの力で再構築する力を持っていることを教えていただきました。

そしてそして、

今回話しておきたいのは、それに加えて多くの歴史的偉人や哲学者、宗教者、現在活躍されている方々の本との出逢いでさらに大きく考えを変えることができたということです。

「この本が良かった」とか

「この本を読んで欲しい」とか

そういうお話しではありません。(いや、ちょっとそんな思いもあるかも・・・)

今のイロハの運営に大きく影響を与えた本に出逢えたそのいきさつがとても大切だと思ったので話しておきたいと思ったのです。

(こちらの目的の方が強いです)

そしてイロハの考えを形作っているのは、ただの金村の思い付きではなく、その根拠となる哲学や知識があるんだということも知っておいていただきたいと思ったのです。

最後には、とてもイロハの考えに影響を与えているベスト本3冊もご紹介させていただきたいと思います。

(これは、読んでくれると嬉しいな、というやましい僕の思いもあります)

ではでは。



僕は基本的に本をよく読むほうなんです。

大人になって読む本の多くは、僕にとっては自分を守るための鎧でした。

人から舐められないように。

ちゃんと根拠立てて“正解”を言えるように。

自分の“弱さ”がバレないように。

だから有名な作業療法士の先生の本や、○○療法で有名な医師の本、認知行動療法の本、

そんな本をたくさん読んでいました。

もちろんそれは表面上は自分のスキルを上げるためと言っています。

しいては自分が関わる患者さんのためです(そう思い込んでいました)。

そんな僕が訪問看護に出て、大きな痛いバカな経験をして、

「これまでの知識や経験を捨てよう!

今までの学びが間違いだったんじゃないか!?

目の前の方々から新しく学び直そう!」

と思えたわけですが、

ここから新たな本との出逢いが始まっていくことになるのです。



訪問看護って、利用者さんから宗教の勧誘をされたり、いろんな本やゲームや食べ物を勧められたりするんです。

1年目の僕はずっとそんな勧誘を断ってたんですよね。

こんな態度からも分かりますよね。

「あなたから学ぶものは僕にはない。

僕の方が正しい。

だってあなたは障害者だから。

あなたはそんなのにのめり込んでいるからおかしくなっている」

みたいなメッセージを送っているということです。(ほんっっと嫌な支援者ですよね。言葉にするとなんか腹が立ってきました。)

それを僕はやめました。

やめることができました。

やっとやっと、やっとのことで僕が信じていた世界が間違っていたのかも、と疑いが持てたからです。

きっと僕の学びはまだ知らない未知の世界にある。

これまでの本や先生や先輩から学んだこととは違う世界にある。

そう思うようになってからは、利用者さんが勧める本を読んでみるようにしたのです。

そして訪問時には、利用者さんが信仰されている宗教の話をたくさん教えてもらうようにしました。

教えてくれるゲームを一緒に楽しむようにしました。

もちろん宗教に入るわけではありません。

訪問の度に僕にいろんな宗教の教えを授けてくれる。

すると利用者さんもイキイキと話してくれる。

どんどん関係も良くなっていく。

どんどん僕の新しい学びが生まれていく。

日々訪問そのものが僕の学びの場となっていったんです。

訪問の合間は、車の中でずっと本を読んでいましたし、移動中もオーディオブック(音声で朗読してくれます)を聴いていました。

おそらく100冊以上読んだと思います。

それも、これまで触れてこなかったような内容の本ばかりです。

その中でも思い出深いものを少し紹介しますね。

今では有名になっている「アドラー心理学」ですが、当時は全く知りませんでした。

訪問看護利用者さんから「嫌われる勇気」(アドラー心理学の本)を勧められて読んだのが最初の出逢いです。

「あなたの為」としていた行為がずっと自分を守る行為だったなんて!
まさに今の自分の事じゃん!


え?え?
不幸でいたい人は実は自分で不幸を選んでいるの?
どういうこと?


これまでに何冊アドラー心理学の本を読んだか分からないくらいにのめり込み、本の著者にも会いに行き直接話を聴かせていただきました。
(著者とはアドラー本人ではなくアドラー心理学を解説している人です。アドラーは100年前に亡くなっていますしね笑)

アドラー心理学にはとても大きな影響を受けていると思います。



宗教でいうといろんな宗教を教えてもらいましたが、やっぱり仏教は面白かったですね。

これまで「無宗教」と自分は思っていましたし、宗教の事を何も知らずに生きて来ました。

むしろ宗教なんて洗脳されるだけのいかがわしいもの、のような偏見が強くありました。

(実は、自分も普段から宗教行為をしていたということにも気付いていなかったんですよね)

そんな僕には、仏教の話が本当に面白くて面白くて。

(心理学者の河合隼雄さんが、仏教と日本の心理学を結びつけたのも納得がいきます。)

釈迦、親鸞、道元、空海。

仏教でも様々な宗派があり、解体と再構築を繰り返しながら現代まで繋がっている事を知りました。

そして、何よりも親鸞の「歎異抄」は衝撃的でしたね。

「悪人正機説」なんて、最初は大混乱です。

「悪人こそ救われる」なんて、価値観の大転換でした。

他力の大切さ、自分のたった一度のこの人生を自分が思うように生きていいという考えについては、この書物から強く影響を受けたと思います。



そしてそして、「老子」との出逢いも大きかったですね。

4000字で書かれた書物に込められた思い。

「道(タオ」の精神。

自分を律して頑張るのが正しいと思い込んでいた僕には、価値観を一変させるものでした。

足るを知る?

相手を高めたければ低めなさい? 低めたければ高めなさい?

なに?なに? どういうこと?

「最も有能な上司は居ても居なくてもいいような存在の上司。」

へ?何で?

もうとにかく上に挙げたものを含め、これまでの価値観を覆すような書物にどんどん出逢っていくことになったのです。

そして何よりも面白いのは、それらを読むたびに強く感じていた事があるんです。

それは、

「あれ?心が抵抗していない。むしろ安心している」

ということです。

新しい世界の知識を手に入れるたびに僕の心が安心していくのです。

癒されていくのです。

そっかダメで良かったんだ。

僕は僕で良かったんだ。

ちゃんと価値があるんだ。

自分の人生は自分で作れるんだ。

ああ!そうか!

僕が病気になって、その後「そんなあなたでいい」と大切な人が僕のありのままを認めてくれ、自分で自分を許せるようになった。

すると病気さんがいなくなり、様々な活力が湧いてきた。

人との関係も良くなり、どんどん自分の人生が良い方向に転がっていく。

それらの理由がとても理解できた気がしました。

そんな経験を経て、「自分でも本を書きたい」

と思うようになりました。

誰かを助けたい、というよりも

「過去の自分にこのことを知って欲しい」

という思いで書かせてもらったのです。

(『あきらめてもいいんだよ』(著:金村栄治)発売中です!)

話が長くなってきたので、現在の僕の考えを形作っている(それはイロハの考えにも影響を与えているということです)方々の名前を一気に書き出し、その後でおススメ本3点を紹介して終わりにします。

影響を与えられた本の作者や偉人

アドラー 親鸞 道元 仏陀 維摩 老子 三木清 西田幾多郎 岡田尊司 森津純子 さとうみつろう 細川貂々 心屋仁之助 水島広子 森田正馬 泉谷閑示 岸見一郎 高垣忠一郎 高橋和巳 鈴木晶 帚木蓬生 坂口安吾 安富歩 エーリッヒ・フロム スピノザ カント ハイデガー カフカ ニーチェ 内海聡 阿部敏郎 雲黒斎 明橋大仁 田房永子 米田倫康 森川すいめい 帚木蓬生 中村朱美 加藤愛理子 小野修 長谷川博一 岡本よりたか フレデリック・ラルー 

(※以前の僕の考えを捨てる決意をした後に出逢い影響を受けた人たちを列挙しました。検索すると様々な著書が出てくると思います。ご興味のある方読んでみてください。)

僕の中では、書物を読むことはその作者との対話です。

まあ、本なんで一方的ではありますが、

「え?なんで?」

「うん。わかるわかる」

「もっと詳しく教えて」
などなど、心で対話している感じです。

つまりこれらの方々の価値観や考えが僕の中で混ざり合い、今のイロハニトイロの考えの土台を築いているということをお伝えしたかったんです。

それでは、最後にその中でもイロハの考えに大きく影響している本を3冊紹介させていいただきます(金村個人の感想です)。

【幸せになる勇気(著:岸見一郎)】

この本は10回以上読んでいます。

そして今でも、心が不安になると読むようにしています。

すべての問題は自分の中にある

自分が自分を許せていない、自分が自分を愛せていない。

自分の問題に目を背けて相手の問題としてしまう、

そんなことに気付かせてくれる本です。

「嫌われる勇気」と2部作になっています。

【こころに天使を育てる本(著:森津純子)】

森津純子さんの本は大好きで本当に心が温かくなります。

この本は、漫画と文章が両方あり読みやすく、たくさん購入して僕の大切な人たちにプレゼントしました。

それくらいに僕には大切な本となっています。

そう!

相手を変えよう、良くしよう、躾(しつ)けよう、とするごとにその人(相手)の心にいる天使が傷ついていく。

その天使を守るために悪魔が一生懸命頑張っている。

自分をこれ以上傷つけられないように守っている。

その悪魔の行動が表面的には問題行動として見えているだけなのです。

誰もの心の中にいる大切な天使を育てることの大切さを教えてくれます。

【「普通がいい」という病(著:泉谷閑示)】

この本は、僕の中に合った、なかなかうまく言葉で表現できない考えをとっても分かりやすく、胸に響く言葉で書いてくれている本でした。

頭と心と体と自然はどのように繋がっているのか。

本当の自信とは何のか。

絶望の正体は何なのか。

自分を愛するってどういうことなのか。

成長するってどういうことなのか。

イロハの考えの大部分をこの本が解説してくれている気がするほどにイロハの考えに沿う内容です。

以上になります。

もちろんその他にも大きな影響を受けた本がたくさんあるのですが、これら3冊の本は、特に読みやすく、その内容も濃く、イロハの考えに沿うものなので多くの人に勧めてしまっています。

ぜひ興味がある方は読んでみてください。

一読の価値あり!!

長くなりましたが、これで終わります。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

次回でこのブロック(vol.38)のまとめをして締めくくりたいと思います。

         イロハニトイロ所長

              金村栄治