vol.36-③ 安心して失敗する?
- 2021年11月04日
- 所長の学び
こんにちは。
イロハニトイロで所長をしている金村です。
「虐待は管理者が作っている」「良い場所にしようとすることが虐待を生む」ということをお話ししてきました。
そんなこれまでのお話の続きになります。
❷ ちょっとした不安なことを相談できない環境。
5つの職場を渡り歩いてきた僕の経験です。
ちょっとした簡単なことを先輩に聞くと
「考えたらわかるでしょ」
とか
「同じこと何度も聞かないで」
とか
「前勉強したでしょ。忘れたの?」
とか言われることがよくありました。
そのたびに心がドキッとしていました!
時には数人の先輩が一緒になって指導してくるなんてこともあって。
だからこそちょっとした不安も口に出せずに、間違ったやり方でもそのままやってしまうということもよくあったことを覚えています。
そしてそれで失敗しようものなら、見つからないようにどうしたら誤魔化せるかばかりを頭で考えてしまっていました。
「怒られる」「自分の評価が下がる」とすぐに思ってしまうんですよね。
そしてある程度できるようになってくると、後輩に同じように言っている自分がいました。
「それが後輩を成長させる事」だと思い込んで。
そして間違ったやり方でも勝手に自分で判断して、何か事故が起こっても隠す。
どんどん、そんな体質が組織の中で定着していくんだと思うんです。
きっと、このことも逆なんです。
日々の雑談にこそ意味があると思うんですよね。
「え?雑談なんて仕事中はダメな事じゃん」と思われがちだと思います。
でも、きっとそうではなくて、人と人を繋ぐ大きな役割があると思うんです。
日々気軽に雑談できるからちょっとした不安もすぐに話せるんだと思うんです。
確かに、雑談してはいけない場面は仕事上あると思います。
でも、私たちはどれだけ雑談を大切にして仕事ができているんでしょうか?
「雑談」の時間こそ大事な時間だとして仕事の中に取り入れることが大切だと僕は思うんです。
不安が1の時に気軽に話せるから、事故も起こらないし気持ちにも余裕が生まれるんだと思います。
そんな関係を職員間で築くのが「雑談」の持つ力だと思うんです。
僕は「しなければならない業務」以上に「雑談」の方が大事だと感じる時があります。
後に回せる業務なら今のこの雑談の方を大切にしたいと思うんですよね。
❸ 決められたとおりにやらないといけない環境。
マニュアルに沿おうとするから、マニュアル通りにできていない人を責めるようになります。
でも福祉や医療の現場では人を相手にしている以上、マニュアル通りにいくはずがありません。
なのにマニュアルがとても大事にされる現場が多くあります(※当然大事だからマニュアルがあるのですが)。
これって見方を変えれば、マニュアル通りにやっていれば自分には罪はない、っていう防衛とも取れる気がすしてしまうのは僕だけですか?
たとえそれが相手(利用者さんや患者さん)にとって不快感を与えていることになっていても。
そんなことよりもマニュアル通りにやって自分に罪や責任が降りかからないことの方が重要であり優先される。
そんな考えに染まっていきやすいと思うんですよね。
人を相手にする仕事において本来大切な「相手にとってどうか」よりも「きちんとマニュアル通り遂行できていること」ばかり囚われている気がしてなりません。
どんどん考える力や相手の立場で見る想像力、共感力が低下していく怖さがあります。
それこそ虐待に繋がらない?
相手の痛みが分からない、想像できない職員を育てていくことにならない?
なんかそんなことを考えてしまうんですよね。
先程は、「不安なことも気軽に聞ける関係を作ることが大切」と言いながら、
今度は反対に「マニュアルに縛られず、自分で考えてやってみることが大切」と一見矛盾したことを言っています。
でも、これって矛盾じゃないと僕は思うんですよね。
だって、後者の方は
「不安もあるけど、きっとこれが相手にとって良いことだと考えた上で前向きに考えて挑戦すること」です。
それって❷の不安なことも気軽に聞けるという安心感がベースにあるからできることだと僕は思うんですよね。
怒られるのが怖い、失敗するのが怖い、と思う環境であればなかなかできないことです。
だから❷と❸は繋がっていると僕は考えています。
その場の状況に合わせて、より良いことをしたいと自分で考え判断し行動してみたその姿勢の素晴らしさに何よりも価値があると思うんです。
結果間違ってしまってもいいし、失敗してもいい。
その間違いや失敗を誤魔化すことなく、認め受け入れられるからさらにより良い方向に改善していければいいと願っています。
そして、そういう人は必ず成長し、より良いマニュアルを作っていってくれるとも思っています。
今日もこの辺で終わりにしたいと思います。
この続きはまた来週に。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
これらの話が、どこに着地するのか?
ぜひ楽しみにして今後もぜひお付き合いください。
イロハニトイロ所長
金村栄治