vol.35 ネガティブOK?! 自己否定OK?!
- 2021年09月24日
- 所長の学び
こんにちは。
イロハニトイロで所長をさせていただいている金村です。
今回は、少し前のお話しになるのですが、僕自身が感動したお話しをさせていただきます。
イロハニトイロ開設当初から僕がメンバーの皆さんに一貫して伝えてきたことは、
「ダメでいい」「間違っていい」「失敗していい」「サボっていい」「迷惑をかけていい」
ということです。
つまり、それは
「それでいい」
「ありのままでいい」
ということです。
しかし、ここの本質をきちんと理解してもらうことは非常に難しいことだと思っていました。
だってそれが許されない社会の中で生き抜いてきて頑張ってきた方たちばかりだからです。
だからそれらの言葉が、自分を堕落させていく「悪魔の言葉」のように聞こえた事でしょう。
イロハを知らない方々が今この話を聴くと、きっと同じように感じているはずです。
そして、以前あるメンバーにも指摘されたように、
スタッフの支援者としての役割放棄、スタッフの怠けとして捉えられるかもしれません。
それでも、いつかその言葉の内実がきちんと伝わることを願って、多くのメンバーとの対話を続けてきたのです。
そして、ある日の事、久しぶりに来たメンバーが涙ながらに自分の苦しみを語っていました。
その時、その場に居た他のメンバー達が、そのメンバーにこのような声をかけていたのです。
「それでいい」
「苦しんでいい」
「悲しんでいい」
「そんな風に考えていい」
そして
「私は(俺は)、こんな風に考えているよ」という自分の想いを語っていたのです。
それを相手に押し付けるでもなく、自分の考えとして語っていました。
その内容が「どうすれば、良くなれるのか」「何をすればいいのかの解決法」を上から目線で語るわけではありません。
「普通は」とか「常識的には」とか「一般的には」とか、そんなことは一切話しません。
相手の苦しみに「それでいい」と言いつつ、自分の想いを語る。
その様子を見て、
「あ、これまで僕(金村)がみんなに伝えたかったことがちゃんと伝わっているんだ。」
「ちゃんと理解されているんだ。」
と思えたのです。
そして、そこにはスタッフの支援(助ける)なんてものはないんです。
メンバー同士で語り合い、癒し合っている。
つまり、スタッフとかメンバーとか、そんな色分けなんかなくて人と人として語り合っていたのです。
全員が支援者であり、スタッフであり、メンバーである。
そんな様子に僕はとても感動したのです。
僕が伝え続けてきたこと。
分かって欲しかったこと。
つまり僕の「ねがい」ですね。
それは、
「ネガティブな自分も居ていい、と思えることが本当のポジティブなんだよ」
ということです。
「ネガティブに考える自分はダメだ」と否定して、無理矢理ポジティブになろうとしても、しんどくなるだけ。
そんなことしてもネガティブがフツフツとマグマのように沸き起こって来るだけ。
そんなのは本当のポジティブとは言いません。
そんなポジティブなんかいりません。
本当のポジティブとは「ネガティブでもいい」とネガティブすらも大切に出来ることです。
そして、
イロハでよく出てくる「自己肯定」。
ダメな自分を否定して、頑張った先に得られる「自己肯定」は本当の自己肯定ではありません。
上手くいっている自分しか愛せない、ハリボテなモロい自己肯定です。
そんな自己肯定は必要ありません。
本当の「自己肯定」とは、
ダメな自分も含めてありのままの自分を認めることです。
つまり
「自己否定する自分も居ていい」
と思えることが、本当の自己肯定です。
このことが、多くのメンバーにちゃんと伝わっており、なおかつその意味を理解してくれており、そしてメンバー同士でもそのマインドを伝え合っている。
なんと嬉しいことでしょうか。
「幸せは伝染することが科学で証明された」というのを聞いたことがあります。
つまり「幸福感の高い人の近くの人は幸福になる」ということです。
こうやって、イロハニトイロという場(集団)自体が、癒しと成長の場となることが本当に僕の一番の「ねがい」です。
これからも、皆さんと対話を続け、共に理解し合い、前に進んでいきたいと思います。
大きな感動をありがとうございました。
イロハニトイロ所長
金村栄治