vol.49-㉔ 支援者が障害を作っている!?

支援の方針を他人が決める(5)
前回までさせていただいた話について考えていると、カンファレンス(関係者会議)についても疑問が出てきます
カンファレンスとは、多職種の関係者が集まり支援される人(当事者)について情報を共有したり、支援の目標や方法を考え、役割分担をする会議の事です
多くの場合、そこにご本人さんはいないんです
(もちろん本人がいることもあります。でも本人がいない会議が開催されることが多いです)
つまり、自分のいないところで自分の支援の方針が決められているわけです
う~~~~ん、やっぱりおかしい気がするんですよね
プロの方々が決める正しさがあって、それに応じなければならない、そんな構造ができていく気がしています
そしてその正しさにそぐえていない自分は障害者、となっていく
周囲の意向に沿えていない、期待に応えられていない、そんな自分はやっぱり駄目な人間なんだと思ってしまう
そんなことを想像してしまいます
あ、でも少しずつその辺りのことは改正されてきているようですね
「支援会議の場に本人(当事者)を入れましょう」
という決まりも今年の4月からできました
それでもきっと、支援者に囲まれた場になると無意識的に周囲の求める答えを敏感に察知して話してしまうでしょう
少しでも本人が本人の本当の気持ちや願いを語れる雰囲気や関係を築くことが支援者に求められているのではないかと思います
ってめっちゃ偉そうなこと言ってますけど、金村はやっぱりできていないんですよね
やっぱりいつも正しさを持ち出したり、
自分の理想や期待を押し付けたり、
その人の声に耳を傾けられなかった自分に後悔する日々です
この話(支援の方針を他人が決める)は、長くなってきたので今回で終わりにしたいのですが、
最後に僕がいつも助けられているなぁと思うことを話させていただければと思います
僕は、支援の現場(人との関り)において、やはりしんどくなることがよくあるんです
だって自分の思うようにいかなかったり、理不尽な感情をぶつけられたり、相手を傷つけてしまったと感じたり、この僕の心もたくさん動き疲れるんです
そんな時、スタッフ間(同僚の方たち)で話をします
例えば利用者Aさんのことで僕が悩み傷ついていたとします
そしてAさんのいないところでAさんのお話をするわけです
あれ、これまで話してきたことと違うことしてますよね
「本人がいないところでその人の事話すっておかしいって言ってたじゃん」
と思いますよね
でも僕はですね、この時間を大切だなと感じているんです
どういうことかというと、
ここではAさんのことを話しているんではないんです
「Aさんと関わっている自分の話」を他のスタッフに聞いてもらっているんです
つまり僕の心や考えをです
何が苦しいか、何に悩んでいるか、どう感じているのか
何度も言いますが、この時間は僕にとって、とっても大切な時間なんですよね
そんな苦しい状態の僕を「それでいい」とスタッフは認めてくれるんです
「一人じゃない」という安心を与えていただけます
そして自分で話している中で様々な自分への気付きが生まれるんです
「あ~~、勝手に期待押し付けてるよなぁ」
とか
「Aさんが変わらないのは自分のせいなんだと周囲の人に思われているんじゃないかと不安になってたんだなぁ」
とかとか。
自分についての整理ができるんです
そして、他のスタッフも僕の言葉に刺激を受けて思ったことを話してくださいます
“自分”の意見や思いとして
自分の考える世界の外の話が聞けて、自分の視野(世界観)が広がるんです
そして、そんなことを語り合えるスタッフに仲間意識がより強くなっていくし、協力的になっていきます
ほら、自分で体験しているんです
これと同じように利用者さん(当事者)とも話し合えればいいはずなんです
なのに支援者という衣を羽織った途端に正しさを押し付け、相手を変えようとするこの不思議
最後までお読みいただきありがとうございました
イロハニトイロ所長
金村栄治