vol.46-⑤【勘違い】思っていることを言葉にする(後編)
- 2023年10月10日
- 所長の学び
前回の続きになります。
「思っていることを言葉にしていい」と言われると何でも言っていいんだと勘違いして、相手に対する不満をぶつけたり攻撃的になったりする方がいらっしゃいます。
後編ではこの言葉の真意を説明していくのですが、ちょっと慎重に順序立てて話していきたいと思っています。
少し堅苦しくなりますがどうぞご了承ください。
自分の思いを何も話せなかった人が、
「あれ嫌」「これ嫌」
「金村さんはひどい」
「金村さんのここが嫌」
「金村さんは分かってくれない」
「話を聞いてくれない」
「あの人のこと嫌い」
「あの人ズルい」
「しんどい」「苦しい」「死にたい」
こうやって言葉にしてくれることは、実はとっても嬉しいことです。
まずはこうやって、これまで自分の中でタブーにしてきたことを開放して、自分の思いを言葉にしていっていただきたいんです。
もちろん「思ったことを言っていい」言葉の真意とはズレているんですが、ズレていたとしても「話さない」「自分の中に押し込めて苦しんでいた」状態から比べるととってもいいことだと思っています。
そして
「話して大丈夫なんだ」
「自分の思っていること言ったっていいんだ」
「自分の思いって大事にしていいんだ」
そう思って欲しいと願っています。
でもここで大きな勘違いが生まれていると前回お話ししました。
どこが言葉の真意とズレているのか?
それは、
その話している言葉は、「本当の思い」じゃないでしょう?
ということなんです。
分かりますか?
もう一度言います。
本当のあなたの思いを話していないでしょ?
ってことです。
私たちは「あなたの(本当の)思いを聞かせてほしい」とお伝えしています。
「あなたの(本当の)思いを言っていい」とお伝えしています。
それは「本当の思い」が「本当のあなた」だからです。
だから本当の私を取り戻すためにも
「本当の思い」をご自身の口で語って欲しいと願っているんです。
「いやいや、だからあれが嫌とかこれが嫌とかあれが不満とか自分の思いを語っているじゃないか」
と思われるかもしれません。
いえいえ、それは本当の思いで決してないんです。
例えば、「金村さんはひどい」「金村さんは分かってくれない」という言葉。
本当の思いは
「金村さんの○○の言葉が私のこと否定しているように聞こえてとっても傷ついたんです。」
あるいは
「金村さんが私の事分かってくれていないと思って、とっても寂しかったんです。」
あるいは
「もっと私との時間を作って欲しいんです」
ということなんです。
それを口にしないで、寂しかった思い悲しかった思いを「怒り」や「不満」という相手への攻撃や批判に変えて伝えてしまうんです。
それなのに、本人は「自分の思っていることを言っている」と思い込んでしまっています。
それが「本当の思い」なのであれば話すことで安心し、気持ちが楽になるはずです。
でも多くの人が、「本当の思い」を別の形で表現で話してしまうから、
後でモヤモヤしたり相手への不満をさらに募らせたりします。
怒りの炎を絶やさないように、怒る理由という薪をくべるような感じです(笑)
そんなだから相手との関係も悪くなったりしてしまうんです。
でもですね、ここで大きな引っ掛かりがありませんか。
それは、自分の「本当の思い」をそんな簡単に話せるものなのか、ってことなんです。
実は私たちは自分の思い(言葉)を失ってしまっているんです。
詳細は「vol.44-⑦」をご参照ください。
だから、最初は言葉にすることから始めていっていいんです。
そしてその言葉が本当の思いではないことに少しずつ気付いていく。
そして本当の私の思いって何なんだろう?って考えだし、
少しずつ本当の思いを言葉にできるようになっていくんです。
何年も僕に対して攻撃的で、僕の言葉や態度をすべて否定的に受け取る方も
やっと本当の思いを言葉にしてくださいました。
「本当はとっても寂しい。もっと話しかけてほしい。もっと話す時間を作って欲しい。」
ということでした。
それが言えなかったから、ずっと攻撃的になったり被害的になって歪んだ形でしか関りを求められなかったというわけです。
そして歪んだ形だから思い通りの反応はもらえず、ずっと同じことを繰り返していました。
本当の思いを言葉にできると、周囲の人間もちゃんとその人を大切にできるようになるんです。
だから大切にしてもらえます。
だから良い関係が築いていけるわけです。
いかがでしょうか。
ご理解いただけましたでしょうか。
なかなか説明が難しいところではありますが、これで終わりにしたいと思います。
いや!
ちょっと待ってください!
これで終わりにするのはもったいない!
せっかくなので、
「自分の本当の思いはどのようにして見つけるのか」
「どんなふうに自分の思いを伝えると相手に伝わりやすくなるのか」
そのコツみたいなものを次回「延長戦」としてお話させていただきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
イロハニトイロ所長
金村栄治