vol.42‐③【内職】受け身的な弱者という意識を植え付ける?
- 2023年01月10日
- 所長の学び
こんにちは。
これまで内職導入について話し合いをしてきたのですが、その内容を公開しています。
内職を導入するにあたって、イロハではスタッフもメンバー(利用者さん)も導入への抵抗がある人が多くいました。
あれ?何で?
「簡単な作業で稼げる。嬉しい!」ってならないの?
もちろん「内職」自体は素晴らしい仕事です。
でも、今のイロハの人たちは、その危険性も分かってくださっています。
だから安易な導入に抵抗感があるのです。
今回から、安易な内職導入が引き起こすもの、つまり
目の前のラクさ、心地良さ、お金、やりがいを得ていると感じている裏で何を失っているのか、
そのことをお話ししていきたいと思います。
もちろん私たちが考えている事なので、他の考えもあることを分かっておいてください。
ここで言う「安易な内職導入」の意味は、
スタッフが “内職仕事(単純作業)” を取ってきて、事業所内で利用者にやらせるもの(ノルマや期間があるもの)、
を指しています。
そこにはどんな見えない影響があるのか、
説明していきたいと思います。
私たちが考える内職の危険性。それは、、、
❶ 「やらされている」という受け身的な姿勢が育つ。
イロハでは、「奴隷精神」や「奴隷根性」という言葉をよく使っています(←良くない言葉ですね)。
もちろん、こういう精神を育てたくない、という否定的な意味で使っています。
これは、誰かに従い支配されて安心する心理の事を指しています。
僕もそうですが、誰かの指示を受けて、それに従っていればとってもラクなんです。
だって、言われたとおりにしておけばいい(考えなくていい)。
間違っても責任をとらなくていいし、不満だけ言っていればいい(無責任)。
自分から動かなくていいし、待っていればいい(受け身的)。
こんな状態を作り出していきます。
イロハニトイロというところは、「主体性を取り戻す」ことを目指しています。
自分の人生を誰かに支配されるのではなく、自分で選択し、行動していく。
自分の望む幸福に向かって行動していく。
それを大切にしています。
だからそんな考えとは逆の効果を与えかねないのが内職作業なんです。
そしてそして、
受け身的な姿勢が育つ要因は、「自分は弱者である」という意識から生まれてきます。
実はその意識も内職作業が高めているのです。
❷ 「私はこんなことしかできない弱者である」という自己評価の植え付け
ここは誤解無く読んで頂きたいのですが、
「内職をする人は弱者であり、かわいそうな人だ」と言っているのでは決してありません。
自分の能力(得意)や好みに合っているものであればいいわけです。(金村は単純作業の繰り返しが大好きな人間です。)
しかし、事業所で行われる内職は、少し要素が違います。
自分の能力に合ったものを選んでいるというよりも、一方的に周囲から与えられる形となります(だって事業所内での内職は限りがあるからです)。
そうするとですね、人は自分の能力と評価をそれ(与えられたもの)に寄せていくんです。
私たちもそうです。
役職の仕事ができる人が役職(課長や部長など)に就くのではなく、役所に就くからそれ相応の技術や知識やふるまいをしていくようになるんです。
女性が子どもがを産んだとたんに母親の行動(ふるまい)をとっていくなんかもそうですよね。
こうやって、障害者意識や弱者意識を高めていき、
結果的に自分を苦しめることになっていくんです。
イロハニトイロというところでは、「自分の価値を取り戻す」ことを目指しています。
他者に価値を押し付けられるのではなく、自分で自分の価値を決めることを大切にしています。
いや、もう自分に価値は備わっている事に気付くことなんです。
以上の2つのことだけを上げてみても、イロハニトイロの理念に反していることが分かりますよね。
でも、何度も言いますが“内職”が悪いのでは決してないです。
金村は内職を導入したいと思っています。
“内職”の導入の仕方や“内職”の取り組み方についての考えを深めているんです。
まだまだ、安易な内職導入が引き起こす “良くないこと” があります。
それは次回以降にお伝えしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
イロハニトイロ所長
金村栄治