vol.40‐④ どちらも大事にするから苦しい?
- 2022年09月12日
- 所長の学び
こんにちは。
前回の続きです。
就労支援施設は簡単に言えば仕事を練習する場所です。
だから仕事をしてもらって、仕事に関する知識や技術を高めてもらう。
でもこれまでお話した通り、イロハニトイロはスタートが違いました。
「このありのままの私でもいられる場所があればそこから社会に繋がれる気がする」
という当事者の方々の声から出発し、形にした場所です。
いやその当事者の声を形にするため、利用者さんと一緒に話し合いながら創り進めてきました。
話としては筋が通っているし納得していただけるのではないでしょうか?
でも、でもですよ!
これはあくまで理想を語っているだけなんです。
(誤解していただきたいくないのは、「“理想”に逃げずに現実にしっかり目を向けよう」ではなく、「“理想”を捨てた時成長は止まる。理想を持ち続ける」というのが、個人的な考えとしてあります。でも現実もしっかり受け止める。)
実際、やってみると多くの難題にぶち当たることになるのです。
特に“矛盾”の中で苦しめられるのです。
今日はそれを解説したいと思います。
もう勘のいい方は気付いておられると思います。
これまで話してきたことの中には大きな“矛盾”が存在しているんです。
「このありのままの自分を認めてくれる」って、
サボってもいいし、
失敗してもいいし、
間違ってもいいし、
やりたくなければやらなくてもいいし、
人に迷惑かけてもいい、
ということです。
んんっ???
それで仕事になるの???
仕事って嫌だけど、頑張ってするものなんじゃないの?
そんなこと言っていたらみんなサボって、仕事しなくなって、ラクなことばかりして過ごすようになるんじゃないの?
そりゃ売り上げも上がらないよ。
売り上げが上がらないってことは「工賃」が上がらないってことだし。
はあ?
自分たちで工賃低くなるようにしているじゃん。
そんなやり方してたらずっと、工賃なんて上がらないよ。
そんなの就労支援とは言えないよ。
仕事させるから、自信や体力がついていくんでしょ?
嫌な仕事も取り組むことで報酬がもらえるんでしょ?
それを障害者の特性に応じて支援するのが就労支援でしょ?
そう思う方が大半なのではないでしょうか?
(かつては金村もそう思っていました。だから苦しかったんです。)
当事者の方々の言葉にしっかりと耳を傾け、能動的に仕事をしてもらう。
サボりたければサボっていい。
となれば、当然仕事としての売り上げが低くなり「工賃」が下がることになります。
逆に「工賃」を上げるためには、スタッフが仕事を設定し、利用者さんに頑張って働いて頂く必要があります。
しかし、それを強いることは、本来の当事者の方々が求めていたものから逸れ、大切なものを見失ってしまう。
当事者の方々の声でできたはずなのに。
この大きな矛盾に陥るのです。
この矛盾どうしましょ?
「ありのままを認められる場所」でいいなら、就労支援施設でなくてもいいのでは?
なぜ就労支援施設である必要があるの?
はい!そうです!
ここです!
この矛盾と疑問の中で、私たちは悩み、考えて、考えて、考えて、そしてみんなで話し合い4年間運営してきました。
ここから導き出した答えを公開し、現在の取り組んでいることの公開に繋げていければと考えています。
次回、その矛盾のブレイクスルー(突破口)をお話しさせていただければと思います。
決して正解とか成功とかではございません。
イロハニトイロはこうやって進んできた、という恥ずかしい部分の公開です。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
イロハニトイロ所長
金村栄治