イロハニトイロ

vol.40-① 滋賀県一工賃が低い事業所!?

こんにちは。

イロハニトイロで所長をしている金村です。

ブログでは「所長の学び」として日々の出来事から学んだことや、イロハニトイロの運営においての考えなどを話させていただいています。

ついつい事業所のブログとなると、良いことばかりを語りたくなるものです。

でも、やっぱり一番重要なのはしっかりとイロハの実像を少しでも感じてもらえる事なのかな、と思っています。

となると、もっとイロハのダメなところ、恥ずかしいところも公開していくべきじゃないのかなと思っているんです。(ヘンかなぁ?)

「vol.40」では、最もイロハの恥ずかしいところであります「工賃」についてお話しできればと思っています。

先日、滋賀県の障害福祉課の職員の方から電話があり厳しいご指摘をいただきました。

(もちろん口調は優しく丁寧です。いつもありがとうございます。)

それは、イロハニトイロの工賃は

 “滋賀県で一番低い” 

というものです。

もう5年目を迎えたにもかかわらず、このような状態では、事業所運営として指導が必要になるというものです。

イロハは就労支援施設なわけで仕事の事を考えなければいけません。

しかし、仕事がメインではない施設(生活介護施設などがあります)でもイロハの数倍の工賃があるそうなんです。

となるといかに、就労支援事業所として機能していないと見られるかが分かりますよね。

「工賃」という視点で見れば、滋賀県一ダメな事業所ということになります。

これはもうとっても厳しい指摘ですし、“滋賀県で一番低い”って、重く受け止めなければいけないことです。

ちょっとここで、分からない方のために、

「工賃」とは何か?

なぜ事業所運営において「工賃」が重要視されているのか?

についてご説明させていただきたいと思います。

ご存知の方は、ここで読むのをやめて頂いて結構です。

また来週、続きのお話を書かせていただきますので。

「工賃」というのは、

簡単に言うと利用者さんの「お給料」ということです。

しかし「就労継続支援B型事業所(就労B型)」は、
「就労継続支援A型事業所(就労A型)」とは異なり、雇用契約を結びません。

(A型は雇用契約を結びますから、最低賃金(滋賀県は時給896円)が保証されます)

ですので、就労B型では、「お給料」というよりも、

その事業所の中で働いて、何か利益を生む仕事ををして、そこで生まれた利益を働いた方々のお金にするので、「工賃」と表現します。

そして、利用者さんの工賃を合算して、人数で割り平均を出したのが「平均工賃額」であり、

それを毎年滋賀県に届け出ているということです。

どうしてそういうことをするかというと、工賃の額によって、国からもらえるお金が変わるからです。

利用者さんのお金は、「訓練等給付」という形で、国がお金を出してくれています。
(所得の多い人は、自己負担額が増えます。所得の低い方は全額国が負担してくれます。)

その「国からもらえるお金」が、

「平均工賃額」が高い事業所は高額になり、

低い事業所は、低額になります。

そうなると、たくさん仕事をさせてたくさん利益を生み出して、工賃額を高くできれば、

事業所の収入も増えるわけです。

だから多くの事業所がそれを意識してやっていると思います。

「平均工賃の額」により国から入るお金(報酬額)が違い、

その額に応じて8段階に分けられています。

もちろんイロハニトイロは工賃が低いので一番下のランクの額になります。

そして、

「一番下の額で私たちは納得しているからいい」という単純なものではありません。

「最低いくらは達成しなさい」という決まりがあります。

イロハニトイロは4年経ってもその最低額すら達成できていない状況になります。

(施設開設後、2年で達成しなければならないところを、4年経ってもまだ達成できていないのが現状です。)

だから県の障害福祉課さんから厳しいことを言われたというわけです。

もちろん、そこには様々な理由があるし、努力もしていますが、事実は事実です。
(この辺りの事は今後話していきます。)

でもそもそも、なぜこんなにも「工賃の額」を国は重要視するのだと思いますか?

それにはこんな歴史があります。

5年前まで、日本には多くの就労支援事業所が存在していました。

福祉の経験のない一般企業で働く人間もどんどん福祉事業に参入してきたのです。

 

どうしてか?

簡単に儲かるからです。

多くの事業所の中にはこんな事業所がたくさんありました。

定員数いっぱいまで障害者を集めて、あまり仕事はさせずに過ごさせて、

国から出た報酬のお金から小遣い程度に少しだけお金を渡す。

そうするとお金がもらえるから、利用者も来る。

来所してもらったら事業所も儲かる。

仕事の機会を与える、あるいは一般企業に就職するための通過施設であったはずが、

利用者を食い物にするかのような施設がたくさんできてしまったのです。

もちろんそうではない事業所もありますが、そういう事業所運営が横行しだしたのです。

このような事態を重く見て、5年前、診療報酬の仕組みが大きく変わりました。

それが現在の「工賃の額」に応じて報酬額を決める、というものです。

国からの報酬を工賃に回してはいけません!

その事業所で仕事をし、その利益を工賃に回しましょう!

障害者に働く機会を作りましょう!

工賃を上げて障害者の生活をより豊かにしましょう!

ということです。

となると、しっかり事業所で仕事をして利益を生み出さないとダメですよ。

そういう環境を作ってくださいね。

それができていない事業所は、以前に横行した悪徳なやりかたの事業所と同じですよ。(←ちょっと嫌な言い方になってすみません。でもそういうことなんです。)

ということになります。

あれ?

それじゃあ、今のイロハニトイロは?

そうです。

まさに工賃が低い悪い事業所なんです。

ちゃんと運営できていない、悪い所なんです。

このままだと運営停止や指定取り消しになるやもしれません。

でも実はスタッフも開始当初からそんなことは分かっているわけで、

でもイロハは今こうなっている。

そして今イロハが変わろうとしている。

それを「ブログvol.40」では公開していきたいと考えているのです。

ぜひ興味がある方は、今後も毎週ブログを更新していきますのでお読みください。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

       イロハニトイロ所長

            金村栄治