イロハニトイロ

Vol.34-① どうしてそんなに変わったの?

こんにちは。

イロハニトイロで所長をしている金村です。

もうイロハニトイロが始まって3年が経過しました。

多くの方がイロハニトイロを利用してくださり、様々な変化を見せてくださっています。

これまでのブログで書いてきたように、イロハニトイロは「支援すること」をしません

つまり、「あなたは病人で弱者だから私たち専門家が助け上げます」みたいな考えは持っていません。

だから「支援」という言葉にどことなく違和感を感じています。

むしろ「あなたも私も不完璧で未熟な人間です。こんな私で何か役立つことがあればやります。あ、私も困ることあるから助けてね。一緒に困りませんか。」という考えの方が強いです。

ですので、利用者さんが変化していく様子に驚きや感動が生まれるんです。

それは、僕たちスタッフが変えたわけではなく、自分自身の力で変わっていっているからです。

人は本当はこんなにも強い力を秘めているのか!と感動し、こちらも勇気がもらえるのです。

もちろんいろんな変化がありますから、その変化が良いものかどうかはその人自身が決めることです。

というように、私たちスタッフも「どうしてそんなに変われたの?」とその驚きの変化の理由が知りたいんです。

今日はそんな僕の学びを紹介したいと思います。

イロハ利用者のAさんに時間を取ってもらい、この2年半で急激に人生が変わった、その背景には何があったのかを教えていただきました。

単純に僕が知って勉強したかったから。

僕の為に時間をとっていただきました。

Aさん、ありがとうございます。

Aさんから学んだことを要点を絞って、あくまで「金村の学び」としてお伝えしたいと思います。

(※ご本人の許可を得て掲載しています)

今回も3回に分けて書かせていただきたいと思います。

 (第①回)Aさんのご紹介(利用開始当初と現在の違い)

 (第②回)Aさんの想い(考え)

 (第③回)金村が学んだこと(まとめ)

まずはAさんの簡単なご紹介から。

Aさんはもともとお仕事もされていて、優秀な社員として働いていましたが、人間関係やさまざまなことが原因で仕事に行けなくなりました。退職され、入院も経験され、退院後イロハニトイロにたどり着きました。

入所当初のAさんは、ひとことで言うなら「ちょっと怖くてとっつきにくそうな人」(※あくまで金村の印象です)。

いつもトゲトゲしく、周囲に嫌悪感を抱いていて、引っかかることがあるとそのままにしておけず表出する、そんな感じです。

しんどそうにうずくまっていた時、スタッフが「大丈夫ですか?」と声を掛けると、「その“大丈夫?”の意味が分からない。そんなこと言われてなんて答えればいいの!?大丈夫としか言えない。」

と言われることもありました。

それくらいに周囲に対して攻撃的だし、不満だらけ。

でも実は、それ以上に自分に対して攻撃的だし、不満だらけで“自己否定”の塊のような状態でした。

そしてもともと頑張り屋のAさんです。

それだけ“自己否定”が強いからこそ、どうやったら自分は健常者(※あえて本人の言葉として載せます)に戻れるのか。

苦手なこと、できないことをリストに起こして、練習して克服しようと頑張っていました。

でも、人に良いと言われることを色々試してみても上手くいかない。

天候の影響も強く受けてしまう方なので、すぐに体が動かなくなる。

だからやりたい事も出来ない。

苦しい。悔しい。情けない。自分なんて無価値。

こんな自分なんて死んだ方がいい。

イロハ利用開始当初は、常に隣に「死」があったそうです。

上手くいかないことがあった → 死にたい

体がしんどい → 死にたい

家族に冷たくされた → 死にたい

そんな状態から抜け出したくて、もがき、常にこの苦しみの原因を探していたのです。

そんな苦しみと不幸感の中で生きていたAさんが、今では別人のような人生を送っています。

イロハの中で自ら率先して新しい仕事を開拓し、他者とも思いや考えを伝え合いつつ物事を進め、楽しそうに仕事に取り組んでいます。

とても柔らかな物腰で周囲の人を気遣ってくださいます。

そして自分でイロハの外での活動を見つけ、そこでアルバイトをさせてもらうまでになり、生活はどんどん広がっていきました。

同時に家族との関係もどんどん良くなっていったようです。

今では「障害者でなくなることが怖い。障害者じゃなくなったらイロハに来られなくなる。でも今の自分はもう病気じゃないと思えている。」と語っておられ、退所に向けての準備中です。

そして、何よりもあれだけ自己否定の中で生きていたAさんですが、現在は、

失敗しても間違っても、つまずいても、

しっかりと傷ついて、そして「これでいいよね。」「これが自分だもんね。」とありのままの自分を肯定できるようになっています。

いかがでしょうか?

なぜ、こんなに変わったのか、興味が湧きませんか?

僕もその変化の理由を知りたくて仕方がなかったのです。

こんなにも生き方が変わり、「幸せ」だと思える生き方が出来るようになったことが本当に素敵です!

長くなったので今回はここで終わらせていただき、次回(来週)その変化に至ったきっかけや本人の思いを話させていただきたいと思います。

これはもう、多くの方に知って欲しい内容です。

ぜひお楽しみに!

              イロハニトイロ
                 金村栄治