vol.33-② イロハはこんなに怖いところ?!
- 2021年08月05日
- 所長の学び
こんにちは。
イロハニトイロで所長をさせていただいています金村です。
毎回、「所長の学び」としてブログを書かせていただいています。
そして前回から、イロハニトイロというところはとっても怖いところで、その所長はとってもヒドイ奴だというお話をさせていただいています。
それも、全てイロハニトイロを運営していく中で気付かされた僕の学びです。
今回はその続きで、イロハニトイロって場所はいかに怖い場所なのか、ということをお話しさせていただこうと思います。
福祉施設ってよく、
「あなたの幸せを応援します」
とか
「あなたに寄り添います」
とか
「あなたの個性を大切にします」
とか
「ありのままのあなたでいられる場所」
とか、素敵でキレイな言葉を使って自社の魅力を表現しています。
あ、これ、イロハニトイロもまさにそうなんです!
「多様性を認め合い、そこから新しい価値を創造しよう!」
とか
「ありのままのあなたから始められる場所!」
とか
「あなたの人生をあなたらしく生きて欲しい。そのお手伝いをする」
とかお話しします!
でもこれウソではないんです!
本当にその通りなんです。
しかし、何が「イロハニトイロは怖いところ」という今回のテーマに繋がるのかというと、
これらの言葉の本当意味をイロハニトイロに来て学んだ時に、ゾッとするわけです。
これほどまでに厳しいものなのか、
これほどまでに勇気をを必要とするのか、
これほどまでに自分に向き合わされるのか、ときっと誰もが思うはずです。
新しく入ったスタッフだって思うわけですから。
そして、
「思っていたのとは違う。なんてイロハニトイロは怖くて厳しい所なんだ!」
と後になって気付くわけです。
その具体例をいくつか挙げてみたいと思います。
先程出てきた「多様性を認め合い、そこから新しい価値を創造しよう」なんて、一見すると理想的でキレイな言葉です。
しかし、多様性を認めるってどういうことでしょうか?
それぞれが我慢をして腹の立つ相手も認めること?
いいえ、違います。
そんなのは本当の多様性とは言わないし、ルールと秩序に縛られ個性を抑え込む息苦しい場所です。
多様性を認め合える場所にするために本当に必要なことって、
「自分の気持ちを言葉にして伝え合うこと」です。
しかしそこには、大抵トラブルが生まれます。
人と向き合うのはしんどいことですから。
自分の本当の気持ちと向き合い相手に伝えることは苦しかったりします。
しかし、それができたとき、相手のみならず自分の事も認めることが出来るようになるのです。
だからイロハニトイロでは、「察する」ということをしません。
つまり、しんどそうだからこうしてあげよう、
とか
きっとこういうことを求めているから、態度から察してやってあげよう、
などと先回りしてやってあげることはしません。
何かしてもらうこと、助け上げてもらうことを期待して入所した方には、とってもイロハは怖い場所になってしまいますね。
私たちはメンバーを可哀そうな弱者として見ていません。
それが一番有害なことだと考えているからです。
だから先回りしてやってあげるということをしない。
しっかり言葉にして伝えて来てくれた時には、対等な人間として真剣に向き合います。
先程出てきた2つ目の
「ありのままのあなたから始められる場所」
という言葉も素敵で、とても温かい言葉のように聞こえますよね。
でも実際は「ありのままの私」って裸の心の私のことです。
それはつまり「病気の私」を使わないということです。
実は多くの人が「病気」で助けられているんです。
「病気のせいでできない」「病気だから○○だ」と、目の前の上手くいかない現実を病気のせいにすることで病気に助けてもらっています。
しかし、イロハでは「病気」を使いません。
「私」として語ってもらっています。
「病気だから○○」ではなく「私は、○○だと感じる。△△だと思う」で語り合います。
もし「病気だから○○できない」と言うなら、
「じゃあ、仕方ないですね。どうしようもないですね」
となってしまいます。
そう語る人は、そっとされているだけです。
だって「病気のせい」なんですから。
病気を治せないスタッフは、何もできないのは当然です。
「ありのままの私」でいることって、一見自分が望んでいるように見えるけど、実はとっても怖いことなんです。
だって、ありのままの私を否定されるととっても傷つく気がするから。
だから、そんなありのままの自分で生きさせようとするイロハニトイロは怖い場所なんです。
もし、本当の自分を許し認めながら生きられたのなら、病気なんて必要としなくなります。
そんな生き方をあなたは本当は望んでいるのではないでしょうか?
そういう生き方をするのは、とっても勇気がいることです。
最後に3つ目の
「あなたの人生をあなたらしく生きて欲しい。そのお手伝いをする」
も一見素敵なことのように聞こえます。
どうして私たちは自由に自分らしく生きれないのか?
それは自己選択が怖いからです。
自己決定が怖いからです。
つまり誰かに批判されたり、起こった結末の責任を取ることが怖いからです。
だから「苦しい」「辛い」と言いながら、誰かに従う人生を選んでしまいます。
そうしている間は、ずっと「病気」からも「苦しさ」からも「不幸」からも抜け出せません。
でも、自分の人生を自分らしく生きるのは、この世界中で自分にしかできないことなんです。
他人が決して操作できない。
だからイロハニトイロでは、助け上げるようなことはしません。
あくまで人生の主体はその人自身。
その人自身が心から望むのであれば、引きこもろうが、自傷行為をしようが、自殺願望を持とうがかまいません。
だからイロハではそんなことを話しても絶対に否定されません。
「今のあなたはそう思うんですね。」と言われるだけです。
しかし、本来人間は自分らしく成長発展し「幸福」を感じたいと望んで生きていきたいと思っていると、僕たちは信じています。
だからこそ、待ちます。
本人が自らの力で自らの人生を変える決意をするのを。
それが出来た時、これまでの苦しさの原因を一緒に紐解いてみたり、これからどのようにしていくのかを一緒に考え悩むことができます。
つまり、スタッフや他のメンバーはその人の人生の脇役でしかないんです。
人生の主人公であるその人が、決意しない限り僕らは何もしないしできないのです。
イロハのお陰で自立できたと思って欲しくない。
「自分の力で自立できた」と感じて欲しい。
いかがでしょうか?
まだまだこれはほんの一部です。
ほんとイロハニトイロは怖い所ですよね。
察してくれないし、助け上げてくれないし、チヤホヤしてくれないし、自分に向き合わされるし、トラブルが起こっても代わりに解決してもくれない。
でもそれは、見方を変えると、
自分の想いをちゃんと語っていいし、
相手とトラブルになってもいいし、
悪い感情も持っていいし、
辞めたい時には辞めてもいいし、
逃げてもいい。
どんな生き方を選ぼうとも尊重されるし、
そのためにイロハニトイロという場所で本当の自分に向き合い、
生き方を模索し、
たくさん間違え、
たくさん失敗し、
たくさん悩み、
自分のペースで過ごせるということです。
ありのままの自分で自由に生きられて、多様性を認め合える関係や場所を作ることは、それだけ過酷だと思っています。
だからスタッフも一緒に悩み失敗し成長中です。
でも、それができたとき、本当に心がラクで楽しくて自分らしく生きられていることを実感し、幸福を感じられるのではないでしょうか。
以上です。
長くなってしまって申し訳ありません。
イロハニトイロはまだまだこれからも変わり続けると思います。
それでも今日書いたような大切な部分はこれからも大切にしていきたいと思っています。
イロハニトイロ 所長
金村栄治