メンバーインタビュー(No.2) 『気づき』
- 2022年01月25日
- メンバーブログ
イロハニトイロに通い始めて3年2か月になるDさんにインタビューさせていただきました。
イロハに通うことでDさんにどのような変化があったのか?
何がその変化を生んだのか?
そして今どのような気持ちでイロハに通ってらっしゃるのか?
ぜひDさんの言葉に耳を傾けてください。
きっと何か、感じるものがあると思います。
Q.Dさんは以前と比べて凄く変わった気がするんですけど、それはどうしてでしょうか?
何か変化のきっかけがあったんでしょうか?
A.(Dさん)
自分では変化のきっかけって分からないんですよね。
きっと、ちょっとずつ変わっていってたんでしょうね。
ある時に「あれ?」と変化に気付いた感じですかね。
来た時の自分は、無口だったし、人と話すことを避けていたし、メンバーとも挨拶くらいしかしていなかったように思います。
(変われたのは)そんな自分でもスタッフさんが話しかけてくれていたからかなぁ?
別のB型作業所と併用しているんですけど(最初はそっちの方だけでした)、そこは何ていうんだろう、「作業らしい作業」なんですよね。
つまり、ちゃんと「仕事」という形なんです。
イロハとは雰囲気が全く違っていて、そことの違いに戸惑っていた気がします。
作業所ってそういうもん(別の作業所みたいな)だと思っていたから、イロハのメンバーとも打ち解けないようにしていました。
自分が入った事で場を乱したくないとも思っていたし、迷惑かけたくないと思っていました。
じっとして目立たずいれば大丈夫。
そんな風に思っていたんでしょうね。
今思えば、「これまでたくさんの人に迷惑かけてきた」という強い思いがあったから、そんな自分への反省が込められていたように思います。
だから週1回、それも半日来るか来ないかの利用から始まりました。
そんな利用の仕方なのに、イロハは「それでいい」と認めてくれるんですよね。
最初に見学に来た時に「どんなあなたでも大丈夫」だとか「ルールはない」とか「好きにしていい」とか「遅刻しても休んでもOK」とかとか、聞いていたけど、本当かなぁって怪しんでいたんです。
頭では理解できても、実感が全くなかったんです。
でもイロハに通っていると「あ!本当なんだ」って実感できてきて。
それからかなぁ、他の人の声にも耳を傾けられるようになってきたのは。
ちょうどその頃に「イロハ大会議」があって、初めて「そこに参加してみよう」って思えたんです。
そしてそこで「変われると思わないと変われない」みたいなことを言う自分がいたんですよね。
あるメンバーに対して言ったのを覚えています。
「自分の意見言っていいんだ」「ちゃんと受け入れられるんだ」って、そこで気付けた気がするんです。
だから気付いたら変わっていたって感じで。
自分でも「あ、自分変わったな」って感じてはいますけど、ちょっとずつ変わってきたんだと思います。
Q.具体的にどんな体験があって、「イロハの言ってることが本当だ」っていう実感に繋がったんでしょうか?
A.(Dさん)
イロハって絶対に話を聴いてくれるでしょ。
そして意見もちゃんと言ってくれるんですよね。
その意見はいつも強制的ではなくて、思ったことを素直に言ってくれている気がして。
そういうのを見ていて、「自分の思ったことを発言していいんだ」って思えたんです。
正解かどうかなんてわからない。
ここ(イロハ)は「正解かどうかで話していないんだ」って思ったんです。
昔は「正論言わないと」と思っていたんですよね。
でもイロハに来て、「間違っていいんだ」って分かったんです。
間違ってもいいから「自分の意見を言っていいんだ」って。
そうやって思えるようになって、そして他の人の声にも耳を傾けられるようになってきたら、
相手の意見に対して、「そんな考え方もあるのか。」と素直に認められるようになってきたんです。
みんなが自分の意見を自由に言っていいし、その意見は人それぞれ違っていていい。
「自分の意見」「相手の意見」
みんな違うし、それが当たり前。
そんなこと当たり前の事なのに、なんで今まで変なことにこだわって悩んでいたんだろうって馬鹿らしくなりました。
決して正解じゃなくていい。
とにかくやってみよう。
間違っていたと分かったら、そのとき変えたらいい。
そんなのが出来る場所がイロハなんじゃないのかなと思います。
Q.凄いことをおっしゃってくれていると思うんですが、そんな簡単に変わる決意って持てるもんなんでしょうか?
やっぱりこれまでの生き方があるから頑なになりそうな気もするんですけど?
A.(Dさん)
きっとイロハだからだと思います。
だってイロハは他のメンバーやスタッフがそのことを体現してくれているんですよね。
そういうのを見ていたら自分もしてもいいかもって、影響受けていくもんです。
他の人たちの姿見て、
「自分を守ってた鎧いらんやん!刀いらんやん!」
って思えたんです。
自分が鎧着て、武器持ってたら、そりゃ相手もそうなるなと。
なら、自分から始めなきゃって思えたんです。
でもそうやってして気付けたこともあるんです。
初めは「自由で好きなことしていい」っていうのが「ラクなんだ」と思っていました。
でもその「ラク」だと思っていたものが少しずつ「楽しい」になっていったんです。
以前の「ラクしたらダメなんだ」という価値観が変わっていきました。
でもそこで気付けたことは、
「ラクすることが楽しいんじゃない」ということです。
やっぱりイロハは「ラクだから来ている」んじゃなくて「楽しいから来ている」って。
Q.最初の頃の、人に迷惑かけないように無難に生きている時は楽しかったんですか?
A.(Dさん)
楽しくはなかったですね。
「私は頑張ってイロハに行っている。」
「だから責めないでくれ。許してほしい」
というような免罪符のようなものを持っていたように思います。
結局それって傷つく事からの逃げやったんですよね。
逃げているから、その分傷つかなくていいけど楽しこともなかったんです。
そして、その逃げも他の人からどう思われるかから逃げていたんだと思っていたけど、きっと自分からの逃げだったんでしょうね。
頑張れない自分、出来ない自分から逃げていた。
頑張って潰れてこの病気になったのに、結局またそんな自分を否定して「頑張って良くならなきゃ」って思って、同じことを繰り返そうとしていたんです。
今は、素の自分でなるべくいようと思えています。
素の自分でいることで誰かを傷付けているかもしれないけど、必ず相手は傷ついたって教えてくれると今は信じているんです。
それができるのは、今はまだイロハだけでかもしれないですけど。
素の自分を隠して誰かを傷付けるより、素のままでいて傷付ける方が、自分の間違いを直そうと思えるんですよね。
「ごめんなさい。私そういうとこあるの」って素直に謝れそうな気がします。
Q.今は幸せですか?
A.(Dさん)
昔は「こんなことがあったから不幸」「こうじゃないから不幸」みたいに思っていた気がします。
他人とも競っていたようなところもあったかも。
こういうことをできていないといけない、みたいなこだわりもありました。
現在は「今、不幸せだと思っていない、ということは幸せなんだ」と思うようになりました。
以前のように勝手に幸せの尺度を上げたくないんですよね。
実は自分はとっても幸せの中にいるということに目を向けられるようになりたいんです。
以上です。
まだまだ話したりない様子でしたが、時間の為切り上げさせていただきました。
「自分が変わろうと思えたのは周囲の影響だった」というところがとても印象的でした。
「環境が人を作る」そして、「幸せは伝染する」ということをとても感じられる内容だったと個人的には思いました。
インタビューをさせていただいている僕(金村)自身もDさんの言葉や行動にとても影響を受けてきたと思っています。
きっとこれからも受けていくことでしょう。
素敵なお話をありがとうございました。
(インタビュアー:金村)